小児の結核とはどんな病気か

 結核菌の感染によって起こる全身性、慢性の感染症です。

原因は何か

 結核菌は経気道(けいきどう)感染します。つまり、感染した人が咳(せき)をする際に出すしぶきや痰が菌を含んだ飛沫核(ひまつかく)となって漂い、それを吸い込むことで感染します。
 感染の危険性は患者さんの排菌量、患者さんとの接触の濃さ、感染した人の抵抗力の強さによって決まります。子ども(とくに乳幼児)の場合、家族内の患者さんからの感染が最も重要です。

症状の現れ方

 大人の場合には咳や痰が長く続く時に結核が疑われますが、子どもではそのような呼吸器症状が目立たない場合があります。その代わり、何となく元気や食欲がなかったり、熱が続いたりするなどの全身症状が中心になることがあります。
 大人ではほとんどが肺結核であるのに対し、子どもでは中枢神経系(髄膜炎(ずいまくえん))や全身(粟粒結核(ぞくりゅうけっかく))が侵されることがしばしばあり、大人よりも重症になるおそれが高くなります。

検査と診断

 まず、先に述べたような症状を認めた場合に結核を疑うことが大切です。疑われた場合に最初に行われるのはツベルクリン反応ですが、2つ注意する点があります。
 ひとつは、BCG接種を受けたあとでは陽性になるので、結核感染のための陽性と区別が難しいことです。もうひとつは、逆に結核に感染した場合でもすぐには陽転しないため、感染して間もないうちは見過ごされてしまう可能性があること、そして粟粒結核のような重症例ではかえって陽性になりにくいことです。
 近年では患者血液を用いたクオンティフェロンTB2Gという検査法によって、BCGや非結核性抗酸菌感染との鑑別診断を行うことが可能になりました。
 その他に、小児の結核診断の難しい点は、検査所見も大人の場合のように典型的ではないことです。たとえば白血球数増加や、赤沈亢進が認められないことがあります。胸部X線検査でもはっきりとした影が写らないこともあります。したがって胸部CT検査まで行うなどして、総合的に判断することが必要です。
 小児では痰を出すことが簡単ではないので、早朝空腹時の胃液を採取して菌が排出されていないかどうかを調べますが、幸い小児では排菌は比較的まれです。
 最も大切なことは、家族内に(学童ではさらに学校の教師に)感染源となる患者さんがいないかどうかを確かめることです。

治療の方法

 結核菌に感染した人すべてが、結核という病気を発病するわけではありません。むしろ菌は潜伏したままのことがほとんどです。
 しかし、感染後1〜2年の間は発病の危険性が比較的高く、また乳幼児では重症化しやすいために、感染したばかりで発病していない人には抗結核薬(イソニアジド)を半年ほど投与します(化学的予防)。
 実際に発病した場合には、2〜3剤を併用して通常1年間の治療を行います。菌の耐性化(薬が効かなくなること)や副作用を避けるためにも、主治医の注意に従ってきちんと服用しなければなりません。

小児の結核に気づいたらどうする

 結核の症状は非特異的であるため、最初から気づくことは少ないのですが、大人であれば長く続く咳や痰、子どもではさらに熱や元気のなさなどが続く時に、必ず結核を疑い受診することが必要です。
 また、家族の誰かが結核菌を排出している可能性がある場合、必ず子どもを含めた全員が検査を受けなければなりません。その結果に応じて、経過観察、化学的予防または治療の選択肢から適切な方針が立てられます。

BCGについて

 BCGは乳幼児の重症結核(髄膜炎粟粒結核)を防ぐために有効なので、生後6カ月未満(3〜6カ月が推奨)に1回接種します。しかし、学童期以降の肺結核を防ぐ力は劣り、しかも再接種の効果はほとんどないため、以前小中学校でツベルクリン反応陰性の生徒に行われていたBCGの再接種は中止されました。