先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)とはどんな病気か

 生まれつき甲状腺のはたらきが弱い病気で、重症から軽症まで症状の出方はさまざまです。発生頻度は出生児3000〜5000人に1人と推測されています。

原因は何か

 胎児期に発生の異常で甲状腺が無形成や低形成に陥ったもの(欠損性)、舌根部(ぜっこんぶ)などにとどまったもの(異所性(いしょせい))、甲状腺ホルモン合成の障害(甲状腺腫性(こうじょうせんしゅせい))があります。まれに中枢性(下垂体性(かすいたいせい)、視床下部性(ししょうかぶせい))の機能障害によるものもあります。近年、原因遺伝子の検索が進んでいます。

症状の現れ方

 新生児期の早期には黄疸(おうだん)の遷延(せんえん)(持続)、便秘臍(さい)ヘルニア、巨舌(きょぜつ)、かすれた泣き声、手足の冷感などがあり、長期的には知能低下や発育障害が問題になります。現在日本では、新生児マススクリーニングが行われており、症状が現れる前にほとんどが発見されます。ただしマススクリーニングで発見できない症例(TSH遅発上昇型など)の報告もあります。

検査と診断



 生後5〜7日に、血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定によるマススクリーニングが行われます。遊離サイロキシン(FT4)の測定を同時に行う地域もあります。TSHが高値であると、再採血あるいは精密検査になります(図52)。精密検査では、TSH、FT4などの再検査、大腿骨遠位端(えんいたん)骨格のX線検査(図53)、甲状腺の超音波検査(図54)などを行います。
 一過性甲状腺機能低下症との区別のため、母親の甲状腺疾患(母親がバセドウ病の場合には抗甲状腺薬内服の有無)、胎児造影、イソジン消毒、コンブの食べすぎなどによるヨード大量曝露(ばくろ)の有無などの確認が重要です。

治療の方法

 生後2カ月以内の甲状腺機能は知能予後に極めて重要と考えられるので、機能低下が疑われればまず治療を開始することが基本です。1日1回甲状腺ホルモン薬のレボチロキシンナトリウム(チラーヂンS錠、散、10〜15μmkg日より開始、成人では2〜3μmkg日で維持)の内服を行います。病型診断は、3歳以後にいったん内服を中止して、123I甲状腺摂取率、シンチグラム、唾液血液ヨード比、ロダンカリ放出試験などによって行われます。

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)に気づいたらどうする

 マススクリーニングで精密検査の通知が届いたら、すみやかに指定された医療機関を受診します。