先天性副腎過形成症とはどんな病気か

 副腎皮質で糖質コルチコイドが作られるためには、少なくとも数種類の酵素が必要です。この酵素の遺伝子に生まれつきの異常(変異)があると、各種のホルモンが適切に作られないために、副腎不全をはじめとする症状を示します。
 先天性副腎過形成症は、損なわれている酵素別に通常は5種類の型に分けられます。最も多いのは21水酸化酵素欠損症(すいさんかこうそけっそんしょう)と呼ばれる型ですので、これを中心に説明します。

症状の現れ方

 副腎皮質から分泌されるホルモンは3種類に大別されます。糖質コルチコイドは抗ストレスホルモンで生命の維持と直接関係し、不足すると急性および慢性の副腎不全の症状を示します。鉱質コルチコイドは電解質の調節を行うため、これが不足すると血液の塩分を保つことができなくなり、脱水状態になります(塩類喪失症状)。これらの症状は出生後数日から2〜3週以内に現れ、治療しないと生命が維持できなくなります。
 糖質コルチコイドの分泌が低下しているため、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が高まり、副腎は大きくはれて過形成となり、皮膚の色は黒くなります。副腎皮質刺激ホルモンが作用しても適切に糖質コルチコイドが作れず、副腎皮質から男性ホルモンが異常に多く分泌されます。
 この結果、男児では陰茎(いんけい)などの発育が異常に早く進み、女児では外性器の形成が男性型に傾き、治療をしないとますます進行します。
 21水酸化酵素欠損症のなかには皮膚の色や男性ホルモン分泌の異常のみを示し、他の症状は軽い場合もあります。

検査と診断

 赤ちゃんの時期に、皮膚の黒ずみ、哺乳が弱く体重が増えないなどの副腎不全症状、塩類喪失症状、そして男性ホルモンの増加による外性器の異常(とくに女児)などを呈します。
 この病気は新生児期にすみやかに診断して治療を開始しないと生命が維持できなかったり、男性ホルモン過剰の影響が大きくなったりします。日本では新生児の先天代謝スクリーニング検査(ガスリー検査とも呼ばれる)に含まれ、全員が出生した医療施設で検査を受ける体制ができています。
 21水酸化酵素は17水酸化プロジェステロン(17OHP)という物質を転換する作用がありますが、この酵素がうまくはたらかないため血液中に17OHPが異常に増えています。これを測定することが診断では大変重要です。
 21水酸化酵素の遺伝子解析が可能になり、診断に役立つようになりました。

治療の方法

 この病気ではその年齢に応じて長期間の治療が必要で、専門医の診療が必須といえます。治療の中心は、不足している糖質コルチコイドおよび鉱質コルチコイドをずっと続けて服用することです。
 薬の量が多すぎると好ましくない影響が出るので、検査や症状、成長発達などをみて総合的に決めなければなりません。負荷・ストレスのある時は薬の量を増やします。
 女児では、外性器の変化の程度に応じて形成手術で適正なものにする必要があります。