全身性エリテマトーデス(SLE)とはどんな病気か

 自分自身の体の組織に障害を与える抗体(自己抗体)ができ、さまざまな臓器で炎症を引き起こす病気です。よくなったり(寛解(かんかい))、悪くなったり(増悪(ぞうあく))を繰り返しながら慢性に経過します。日本には約5000人の小児患者がいると推定され、女子が男子に比べ5倍多く発症しています。

原因は何か

 根本的な原因は不明ですが、次のようなことが発病に関係すると考えられています。
(1)遺伝因子
 白血球の血液型(HLA)には、この病気になりやすい型があることがわかってきています。
 また、若い女性に発症しやすく、双子で同じように発症することがあります。
(2)環境因子
 外からのさまざまな要因が、不適切な免疫反応を引き起こすと考えられています。発症や増悪のきっかけになるものとして、(1)ウイルス感染、(2)紫外線、(3)薬剤(抗けいれん薬、抗甲状腺薬、避妊薬など)、(4)妊娠や出産、(5)ストレスが知られています。

症状の現れ方

 自己抗体は全身のさまざまな臓器を攻撃するため、症状は多様です。 (1)全身症状:発熱、だるい、疲れやすい (2)皮膚:日光過敏、両方の頬に赤あざのような斑点が出る(蝶形紅斑(ちょうけいこうはん))、円板状皮疹、脱毛 (3)関節:関節炎によるはれ、痛み (4)腎:慢性腎炎によるむくみ、高血圧 (5)神経:抑うつ、けいれん、頭痛、無意識に勝手に手足が動く(不随意(ふずいい)運動) (6)心臓:心膜炎心筋炎、弁膜症による動悸、息切れ (7)肺:胸膜炎による呼吸困難、胸痛 (8)消化器:腸炎、肝炎、腹膜炎による腹痛、嘔吐、下痢。口内炎ができやすい (9)眼症状:視力低下、眼球乾燥 (10)血液異常、免疫異常:病原体に感染しやすく、重症化しやすい

検査と診断

(1)抗体検査:さまざまな自己抗体、とくに抗核抗体、抗DNA抗体が高率で検出されます。 (2)血液一般検査:貧血、白血球減少、血小板減少を来します。 (3)血液生化学検査:肝臓、腎臓の障害などで異常値が認められます。炎症反応は陽性になることが多いです。補体(ほたい)という検査値の低下が特徴的です。 (4)尿検査:腎炎を合併すると血尿や蛋白尿がみられます。

 そのほか、(5)心臓の検査(心電図、超音波検査)、(6)神経系の検査(脳波、CT、MRI)、(7)腎臓の検査(腎機能検査、腎生検)など、症状に合わせて精密検査が必要になります。 *小児では約8割に腎障害が起こります。また、腎障害の程度で治療が決まることが多く、腎臓の組織を調べる腎生検が必要です。

治療の方法

 治療の目的は急性期の炎症をすみやかに鎮静化させ、臓器の機能を長期にわたり維持することです。治療の基本はステロイド薬です。 (1)非ステロイド性消炎鎮痛薬:発熱、関節炎などの軽減に用いられます。非常に軽症の例では、この薬のみで治療することもあります。 (2)ステロイド療法:経口のステロイド薬を最初は多めに使い、症状をみながら減量して、その後一定量を維持していきます。重症の場合にはステロイドパルス療法という、大量のステロイド薬を点滴する方法を行うこともあります。 *ステロイド薬はこの病気の治療に不可欠です。ステロイド薬は副作用を伴いますが、自己判断で中止しないでください。ステロイド薬の副作用としては免疫低下、高血圧糖尿病胃潰瘍、大腿骨の壊死(えし)、緑内障(りょくないしょう)などがあり、医師はこれらに注意しながら使っています。ステロイド薬の量や内服方法は必ず医師の指示に従ってください。 (3)免疫抑制薬:ステロイド薬の副作用が強かったり、ステロイド薬だけでは治療の効果があがらない場合に併用することがあります。内服、点滴などの方法がとられます。 (4)血漿(けっしょう)交換療法:重症の場合では血液を体の外に取り出し、自己抗体や炎症物質をフィルターで取り除く治療を行うことがあります。

全身性エリテマトーデス(SLE)に気づいたらどうする

 微熱が続く、疲れやすい、関節が痛い、顔が赤くなるなどの症状が続く場合、早めに小児科を受診することが必要です。治療や管理は長期にわたるので、医師の指導のもと、日常生活の過度の制限を避け、なるべく普通の生活を送るよう心がけてください。
 感染、紫外線、精神的・肉体的ストレスは再発の原因になります。バランスのとれた食事と適度な運動を励行し、感染予防、日焼け止めに留意します。
 いわゆる難病のひとつですが、現在では治療の進歩で5年以上生存できる人が95%以上と非常に改善されています。