奇形腫(胚細胞性腫瘍)とはどんな病気か

 奇形腫は最近では胚細胞性腫瘍と呼ばれ、生殖器ができる過程でその基になる胚細胞に発生する腫瘍の総称で、良性、悪性のものを含みます。腫瘍は、体の組織のさまざまな成分が混じり合っています。女児の卵巣、男児の精巣にできるほか、体の中心線にそって発生し、お尻の骨の仙尾部(せんびぶ)、後腹膜(こうふくまく)、胸の奥の縦隔(じゅうかく)などにも発生します。
 部位によって年齢の分布や悪性の占める割合および組織の型が大きく異なります。新生児期では仙尾部や後腹膜に、2歳以下の乳児期では精巣に、学童や思春期では卵巣および縦隔にみられる傾向があります。悪性の奇形腫は、腹部リンパ節、肺、骨などに転移します。

症状の現れ方

 卵巣の奇形腫は下腹部のしこりとして気づかれますが、腹痛や腹水、膀胱、直腸がしこりに圧迫されて頻尿(ひんにょう)、便秘なども起こります。おむつ交換時に片側で痛みのない精巣のはれとして発見されます。仙尾部では、お尻の部分のこぶ、腫瘍の圧迫による便秘、尿閉(尿が出にくい)などがみられます。後腹膜では、おなかのはれやしこり、縦隔では呼吸器症状や顔のむくみなどがみられます。
 悪性奇形腫はα(アルファ)‐フェトプロテインという特殊な蛋白質が増えるのが特徴で、これが診断の手がかりになります。

治療の方法

 悪性奇形腫は、精巣などの部位では、比較的早期に見つかり、転移がなく完全摘出が可能な場合には手術をします。その後は無治療で慎重に経過を観察します。ほかの部位は完全摘出が難しいことが多く、抗がん薬の治療で腫瘍の縮小を待ってから、全摘出を目指した機能温存の手術を行い、手術後も抗がん薬を使います。早期であれば治癒が期待できます。
 良性の奇形腫では、完全に取り除くことで再発は少なくなります。

奇形腫(胚細胞性腫瘍)に気づいたらどうする

 おむつ替えや入浴の時、おなかのしこり、精巣のはれ、お尻のこぶがないかどうかを観察してください。これらの症状や便秘、尿閉がみられたら、すぐに小児科を受診します。悪性奇形腫は肺やリンパ節に転移しやすく、早期発見・早期治療が大切です。