低血圧<お年寄りの病気>の診断と治療の方法

 お年寄りの場合、低血圧であっても特別な原因が見つからず、従来とほぼ同じ高さの血圧でとくに症状がなく、あるいは症状があっても軽い時は、治療の必要はありません。低血圧の治療の目的は単に血圧を上げるのではなく、症状を改善して生活の質(QOL)を向上することにあります。
 治療の基本は一般療法です。たとえば運動療法(軽い運動、理学療法)、食事療法(塩分を多めに摂取する、高蛋白食など)や、乾布摩擦(かんぷまさつ)などを行います。
 起立性低血圧は、寝ている状態から立つ際に動作をゆっくり行ったり、あるいはいったん座位をとるように心がけることによって、ある程度予防できます。下肢に血液がたまることを防ぐ、弾力ストッキングの着用が有効な場合もあります。
 このような一般療法では効果がみられず、症状が強くてQOLの低下がみられる時には薬物治療を行います。薬剤としては、交感(こうかん)神経(緊張を高める神経)を刺激する薬を用いて血圧を上げます。
 あるいは、体のなかに水やナトリウム(塩分)をためて、循環している血液の量を増やして血圧を上げる作用のあるミネラルコルチコイド製剤を用いることもあります。そのほか、自律神経調節薬や精神安定薬が有効な場合もあります。
 また、降圧薬の過量投与に伴う起立性低血圧では、降圧薬の量をうまく調節することが必要です。お年寄りでは、白衣高血圧(はくいこうけつあつ)といって医師が血圧を測る時だけ高値を示すことも多いので、家庭で血圧を測定することが、降圧薬の量を決める時に参考になります。さらに、降圧薬の種類では、循環血液量を減らす利尿薬(りにょうやく)や、交感神経の反射を低下させるα(アルファ)遮断薬などにより起立性低血圧がみられることがあります。
 いずれにしても、お年寄りでは急な降圧を避けることが大切です。降圧薬は少量から始めて徐々に増量することが必要なので、そのためにはかかりつけ医に日常の様子や家庭での血圧を知らせることが重要になります。