悪性リンパ腫とはどんな病気か

 悪性リンパ腫は、リンパ組織ががん化して起きる病気です。リンパ節に発生することが多いのですが、どの臓器にもリンパ組織があるため、咽頭、甲状腺(こうじょうせん)、肺、胃腸、脾臓(ひぞう)、脳脊髄(のうせきずい)など、リンパ節以外のさまざまな臓器・部位にも発生します。高齢者でより頻度が高い腫瘍です。
 主な症状はリンパ節のはれ・しこりや圧迫感で、頸部(けいぶ)、腋(わき)の下、股の付け根のリンパ節がはれることです。通常は進行性で痛みがありません。触知できるリンパ節以外に発生した時は、原因不明の体重減少、38℃以上の発熱、激しい寝汗、骨痛、意識障害など、全身的な症状として現れることがあります。
 原因はまだ不明ですが、一部でウイルス(HTLV‐1、EBV、HHV8など)や、ヘリコバクター・ピロリ菌(HP菌)が関与することがわかっています。

検査と診断

 リンパ節や腫瘤(しゅりゅう)の一部を試験的に切除して、病理検査をすることで診断されます。最近は染色体や遺伝子の異常も加味されています。
 悪性リンパ腫は、ホジキン病と非ホジキン病(NHL)の2つがあります。NHLはB細胞型とT細胞型に大別され、それぞれが多くの組織型に分かれています。日本人には非ホジキンリンパ腫が多くみられます。
 腫瘍の広がりをみるために胸腹部CT、PET、骨髄(こつずい)検査なども必要です。病気の広がりの程度により4つの病期に分けられます。高齢者では、半数以上が診断時にIII〜IV期まで進行しています。

治療とケアのポイント

 悪性リンパ腫の治療法としては、化学療法、放射線療法、抗体療法、造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)移植があります。組織型や病気の進行状況などにより、これらを組み合わせて治療します。
 代表的な化学療法としては、3種類の化学療法剤(エンドキサン、アドリアシン、オンコビン)に副腎皮質ホルモンを組み合わせるCHOP療法があります。び慢性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)では、抗体療法(リツキサン)の併用が標準療法になっています。患者の状態、病院によって違いがありますが、入院は最初だけで、その後の多くは外来で治療します。
 また、腫瘍が頸部など局部に限られている場合は、放射線療法だけを行います。HP菌が関与するMALTリンパ腫の多くは、初めの除菌だけで治療します。
 治療成績は病期、年齢、身体的自立度(PS)、組織型、血清LDH値、節外腫瘍の数などにより影響を受けます。NHLの約半数を占めるDLBCLでは、高齢者でも、完全寛解(かんかい)(腫瘍が消失すること)率は60%以上、4年以上生存する割合は50%以上の報告が多く、5年以上の長期生存率も、一部の予後不良群を除けば、ほぼ変わりません。
 早期に発見・診断し、元気なうちに治療を開始すれば治すことが可能な疾患です。異常なぐりぐりを触れたら早めに受診することが大切です。

自宅での注意

 普通の生活や食事が可能ですが、治療中は白血球が減少していたり、免疫が抑えられたりして感染症にかかりやすくなっています。また、完全寛解になっても再発することがあります。高熱が出たり、しこりや体重減少などの異常を感じたら、早めに病院を受診しましょう。
 治療してから数年経過して骨粗鬆症が進行し、脊椎圧迫骨折などを起こすことがあります。とくに閉経後の女性は早くから予防対策が必要です。