子宮内膜症とはどんな病気か

 子宮内膜症は、子宮内膜あるいはそれと似た組織が子宮内腔以外の部位に発生し、女性ホルモン(エストロゲン)の刺激を受けて増殖する疾患です。


 子宮内膜症の大部分は骨盤内に発生し、その病変部は月経時に、子宮内膜と同じようにはがれて出血します。卵巣内で増殖すると、毎月、卵巣にチョコレート状になった古い血液がたまって大きくふくれ、いわゆるチョコレート嚢胞(のうほう)を形成します(図12)。
 子宮内膜症は生殖年齢にある女性の10〜15%に存在するといわれていますが、とくに最近増えています。その理由としては、腹腔鏡検査が進み診断能力が向上して病気が見つかるようになっていること、初婚年齢・初産年齢が上がっていること、出産回数の減少などが指摘されています。

原因は何か

 子宮内膜移植説と体腔上皮化生説(たいくうじょうひかせいせつ)の2つが有力です。
 子宮内膜移植説は、卵管を経て逆流した月経血中にある子宮内膜細胞が腹腔内に到達し、腹腔面に生着するという説です。ただし、この説では、なぜすべての女性に子宮内膜症が発症しないのかという疑問が残ります。
 一方、体腔上皮化生説は、腹膜がエストロゲンや月経血の刺激を受け、子宮内膜組織のように変化して子宮内膜症が発生するというものです。子宮内膜症の発症メカニズムを一元的に説明することは困難であり、現時点では、子宮内膜移植と体腔上皮化生のいずれもが重要であると考えられています。

症状の現れ方

 主な症状は、疼痛と不妊です。最近の全国調査によると、日本では子宮内膜症女性の約90%が月経困難症(げっけいこんなんしょう)を訴えており、月経時以外の下腹部痛は約50%、性交時痛・排便痛は約30%にみられます。病気の進行度と疼痛の程度とは、一般に関連は少ないとされています。
 子宮内膜症は、卵管周囲の癒着によって卵の捕獲や輸送が損なわれれば不妊の原因になり得ます。まれに、性器外の胸膜・肺、腸管、尿路などに発生し、月経時に気胸・血痰(けったん)、下血、血尿などの症状が現れたり悪化することがあります。
 一般に、子宮内膜症は徐々に進行するとされていますが、長年にわたって変化しない場合もあります。また、妊娠・分娩を契機に治ることもあります。閉経後は卵巣機能がなくなり低エストロゲン状態になるので、病巣は自然に萎縮し、症状もなくなります。

検査と診断

 内診、超音波検査、MRI、腹腔鏡検査などにより診断されます。

治療の方法

 薬物療法と手術療法がありますが、いずれを選択するかは、症状の種類、程度、進行度、年齢、子どもをつくる希望の有無などを総合的に考慮して決めます。
 薬物療法としては、月経時だけ鎮痛薬を服用する対症療法があります。また中長期的には経口避妊薬による偽(ぎ)妊娠療法(擬似的(ぎじてき)に妊娠したような状態にする)、ダナゾールやGnRHアゴニストによる偽閉経療法(擬似的に閉経したような状態にする)があります。最近、ジエノゲストという黄体ホルモン製剤によるホルモン療法が導入されました。
 いずれにしても薬物療法は根治的なものではないため、治療終了後は再発・再燃をみることが多くなっています。そこで手術療法と組み合わせたり、副作用の違いを考慮しながら交互に用いているのが現状です。
 手術療法は、病巣だけを摘出して子宮や卵巣を温存する保存療法と、子宮・卵巣を摘出する根治手術があります。後者は、子どもを希望しない患者さんに限られます。最近は、腹式手術以外に腹腔鏡下手術が行われるようになりました。