分娩終了後、妊娠・分娩によって生じた全身および性器の形態変化と機能変化が元の状態にもどっていき、同時に授乳が確立していく期間を産褥(さんじょく)(期(き))といいます。

子宮復古

 子宮体部は胎盤(たいばん)が出たあと徐々に縮小します。子宮底部は、分娩直後はおへそのあたりの高さですが、次第に降りてきて産褥2週間目までには腹壁から触れなくなります。子宮体部の大きさは、産褥6〜8週間で妊娠前の状態にもどります。この間、子宮収縮に伴う疼痛を感じることがありますが、通常3日目までには消失します。また、子宮内腔の胎盤剥離面(はくりめん)も周囲の子宮内膜の発育によって縮小し、6週間目までには完全に内膜でおおわれます。
 産褥期に子宮内から排出される分泌物を悪露(おろ)といいます。悪露は血液、脱落した組織、粘膜などを含んでいます。子宮体部の収縮、胎盤剥離面の内膜化に伴って悪露は次第に減り、分娩直後は赤い血性悪露だったものが、5日目ころになると褐色になり、2週間目には黄色になります。悪露は、子宮が完全に回復する産褥6〜8週間目までには止まりますが、それまでに若干の量の増減があってもとくに問題にはなりません。
 ただし、いつまでも赤色の悪露が続く場合は、胎盤や卵膜の一部が子宮内に残っている場合があるので、医師の診察を受ける必要があります。
 子宮頸部は体部よりも早く回復します。分娩時に10cmにまで開大した子宮口は、産褥5日目ころには2cmにまで縮小し、2週間目には外子宮口には指が多少入りますが、内子宮口は閉鎖した状態になります。4〜6週間後には、ほぼ妊娠前の状態にもどります。

生殖機能の回復

 妊娠中のエストロゲン、プロゲステロンの主な産生組織であった胎盤が剥離し外に出されるので、これらのステロイドホルモンによる下垂体(かすいたい)ゴナドトロピンの抑制は解除されます。これによって、間脳(かんのう)、下垂体、卵巣の機能は回復に向かうはずですが、実際は産褥期も排卵は止まったままで、無月経が続きます。
 これは、授乳に伴う下垂体後葉(こうよう)からのプロラクチン分泌によって間脳が抑制されるためです。ですから、授乳をしていない場合は、産褥3カ月までには排卵が再開し、月経が再来しますが、授乳中は無月経が続き、1年以上無月経のままということもあります。

全身の臓器機能の回復

 妊娠中は大きくなった子宮によって横隔膜(おうかくまく)が圧迫され、胸式呼吸になっていますが、分娩後は子宮の縮小に伴い、再び腹式呼吸にもどっていきます。また、分娩で300〜500mlの血液が失われますが、妊娠中は血液量が増えているため、とくに問題にはなりません。産褥期が経過するにしたがって血液量は減っていき、2〜3週間で妊娠前の量にもどります。
 妊娠中には耐糖能(たいとうのう)が低下して糖尿病になりやすい状態にありますが、産褥期になると次第に妊娠前の状態にもどります。このほか、腎臓機能や脂質代謝も元にもどります。