前置胎盤とはどんな病気か



 胎盤が子宮下部に付着し、その一部が内子宮口に及ぶものをいいます。内子宮口にかかる程度により、全前置胎盤、一部前置胎盤、辺縁(へんえん)前置胎盤の3種類に分類されます(図16)。

症状の現れ方

 妊娠後半期の子宮下部の伸展や子宮口の開大に伴い、胎盤の一部が剥離(はくり)し出血します。妊娠30週前後に無痛性の出血として起こり、自然に消失することが多いようです。これは警告出血と呼ばれます。
 分娩時には子宮収縮に伴い胎盤剥離(たいばんはくり)が進行し出血多量になりやすくなります。子宮下部は脱落膜形成(だつらくまくけいせい)(子宮内膜が妊娠の影響を受けて脱落膜へと変化すること)に乏(とぼ)しいため、癒着(ゆちゃく)胎盤となりやすく、その場合には母体の生命に関わる大出血となることがあります。多産婦、前回が帝王切開であった人、子宮内膜掻爬(そうは)の既往がある人などに多く、それにより子宮内腔の変形や子宮体部内膜の異常が生じ、受精卵が子宮下部に着床するため発生すると考えられます。

検査と診断

 臨床症状が重要で、妊娠後半期に無痛性の性器出血がある場合には本症を疑って診察にあたります。内診で指を子宮口内に挿入すると大出血を起こすことがあります。確定診断には超音波断層法が用いられ、内子宮口をおおう胎盤像が描写されます。内子宮口付近の観察には経腟的超音波検査が極めて有効です。
 妊娠中期には前置胎盤のように見えていたものが妊娠経過とともに内子宮口から離れていくことがあるので、本疾患が疑われた場合は定期的な観察が必要です。

治療の方法

 本症の管理としては安静が重要なので、出血の有無にかかわらず妊娠28週ころに入院するのが一般的です。出血がある場合に子宮収縮を伴っているようなら子宮収縮抑制薬を用います。出血量が500mlを超えるようであれば、帝王切開による胎児および胎盤の娩出が考慮されます。