胎盤遺残<女性の病気と妊娠・出産>の症状の現れ方


(1)胎盤嵌頓
 この病気では子宮峡部付近が収縮し、体部が弛緩することが多く、外出血がみられますが、子宮体腔に大量の出血があっても峡部(きょうぶ)の収縮が強いと血液は子宮外に流れ出ないため、見かけ上はほとんど外出血がみられないこともあります。

(2)癒着胎盤
 症状は、全癒着と部分癒着とで異なります。

a.全癒着
 胎児娩出後も胎盤がまったくはがれないため、出血はみられません。

b.部分癒着
 胎児娩出後、癒着部以外の胎盤ははがれますが、子宮が収縮を妨げられて出血します。癒着した胎盤の小片が子宮内に残ると産褥期(さんじょくき)の出血や産褥熱の原因になります。

胎盤遺残<女性の病気と妊娠・出産>の診断と治療の方法


(1)剥離胎盤の遺残

a.娩出力欠如による遺残
 まずは手で子宮輪状マッサージを行い、胎盤が娩出しなければバッカク製剤(マレイン酸メチルエルゴメトリン)の筋肉注射か静脈注射が行われます。それでも娩出しない場合、オキシトシンかPGF2αが投与されます。

b.胎盤嵌頓
 鎮痙(ちんけい)薬(主として臭化ブチルスコポラミン)やトランキライザー(鎮静剤)を使って峡部のけいれんを除いてから、手で胎盤をはがします。

(2)胎盤剥離の異常

a.付着胎盤
 子宮輪状マッサージを行い、胎盤が娩出しなければ、胎盤圧出法、胎盤用手剥離(手ではがす)が行われます。

b.癒着胎盤
 胎盤用手剥離を試みても癒着が強固で剥離が困難な場合、子宮壁を損傷せずに剥離することが不可能な場合、強度の出血を止血できない場合などには、剥離を中止して開腹術が行われます。
 今後の出産を希望しない場合は、子宮全摘除術または腟上部切断術を行います。今後の出産を希望する場合、内腸骨動脈結紮術や子宮動脈結紮術(けっさつじゅつ)で止血できれば、子宮を摘除せずに胎盤を子宮壁に付着させたまま、感染に注意しながら、自然の剥離を待つこともあります。メソトレキセートを使用して絨毛の活性を低下させ、娩出を早めることもあります。