更年期障害<女性の病気と妊娠・出産>の症状の現れ方

 症状は、表10に示すように、自律神経失調症状、精神症状、その他の症状に分けられます。通常、自律神経失調症状と精神症状は混在しています。
 自律神経性更年期障害の代表的なものは、ホットフラッシュ(顔ののぼせ、ほてり)、発汗などの症状です。ホットフラッシュは閉経女性の40〜80%に認められ、1〜数年間続き、長期にわたる場合もあります。しかし、そのうち治療を要するものは25%とされています。
 精神症状としての憂うつは、閉経女性の約40%に認められています。また、最近の調査では、日本の更年期女性の特徴として、ホットフラッシュよりも肩こりや憂うつを訴える頻度が高いことがわかっています。

更年期障害<女性の病気と妊娠・出産>の診断と治療の方法

 更年期障害の程度は、本人の性格、精神状態、周囲の環境などから影響を受けます。まずは、生活習慣・生活環境の改善を図るのが基本です。
 ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗などを中心とする自律神経失調症状には、エストロゲンによるホルモン補充療法(HRT)や自律神経調整薬などによる薬物療法が中心になります。自律神経性更年期障害は、ホルモン補充療法により約1カ月で症状の改善をみることができます。
 一方、社会心理的要因により誘発されると考えられている精神症状性更年期障害に対しては、向精神薬を主体にした薬物療法と精神療法が有効ですが、精神症状のなかにはエストロゲンの欠乏に由来するものもあり、ホルモン補充療法が効果的な場合もあります。
 平均5年以上ホルモン補充療法を行っている女性では、行っていない女性と比べて乳がんの発症リスクが1・3〜1・4倍高くなります。しかし、定期的な検診が行われているためか、ホルモン補充療法に関連する乳がんは比較的早期の予後のよいタイプが多く、乳がんによる死亡率はとくに増えていません。
 通常、子宮を摘出している女性には、エストロゲン製剤だけを単独で用います。子宮がある女性には、子宮内膜がんの発症を予防するため、エストロゲンとともに黄体(おうたい)ホルモン製剤が併用されます。
 黄体ホルモン製剤を周期的に投与すると、月経に似た出血を繰り返しますが、続けて用いていると、次第に不正出血はなくなります。
 現在、次第に広まりつつある低用量のホルモン補充療法では、同等の効果をあげながら不正出血の頻度は減っています。現在のところ、更年期障害に対するホルモン補充療法は、定期的な子宮がん・乳がん検診のもとで数年間をめどに行うのは問題ないと考えられます。