睡眠相後退症候群<こころの病気>の症状の現れ方

 日中の行動や心理状態と関わりなく、朝方まで入眠できませんが、いったん入眠すると比較的安定した睡眠が得られ、遅い時刻まで起きられません。睡眠時間帯が遅れて固定してしまっているのです。このために定刻に登校や出社ができず、社会生活上の問題となります。患者さんの体内時計の状態を調べると、体温リズムやホルモンリズムが3〜4時間遅れています。これが原因で睡眠時間帯が遅れてしまうのです。
 10〜20代に多く、夏休みなどの長い休暇や受験勉強などによる昼夜逆転の生活が発症の誘因となります。普通の人では、休暇後の何日かの間、朝なかなか目が覚めず、つらく感じることがありますが、数日のうちには早くに寝つけるようになり、必要とされる時刻に苦痛なく起きられるようになります。ところが睡眠相後退症候群では、普通の人と異なり、遅れた生活を元にもどせません。

睡眠相後退症候群<こころの病気>の診断と治療の方法

 治療としては、高照度光療法(こうしょうどひかりりょうほう)が用いられます。日光や人工的高照度光に、朝起きると同時に一定時間曝露させることで、体内時計のリズムを早め、その晩の入眠時刻を早くし、睡眠時間帯を徐々に正常化する方法です。
 徐々に入眠時刻を遅らせて睡眠相を患者さんの望む時間帯に固定する、時間療法という治療法もあります。1日3〜4時間ずつ入眠時刻を遅らせることで、ほぼ1週間かけて入眠時刻を22〜24時の望ましい時間帯に固定します。睡眠時間帯を早めることは困難ですが、遅らせることは簡単であることから考案されました。
 この方法では、いったん睡眠時間帯が正常化しても、不規則な生活をすると再び睡眠が遅れてしまうことが多いので、睡眠時間帯が安定するまで生活上の注意が必要です。
 サプリメントとして個人輸入が可能な松果体(しょうかたい)ホルモンのメラトニンが、この病気に効果があることが報告されています。眠気の出現しないようなごく少量を、夕方ごろに毎日服用するのが効果的と考えられています。大きな副作用はありませんが、服用時刻と量の調節が難しいので専門医の指導のもとで使うのがよいでしょう。