選択性緘黙症<こころの病気>の症状の現れ方

 基本的な特徴はすでに述べましたが、ここでは、治療経過などからコミュニケーション意欲の強さの程度により分類されている3つのタイプについて触れます。
 タイプIは、家族以外にコミュニケーションを自ら求める、神経症的不安に基づくタイプです。
 タイプIIは、家族以外にコミュニケーションを自ら求める意欲に乏(とぼ)しく、性格や人格発達の未熟性に基づくタイプです。
 タイプIIIは、家族内外ともにコミュニケーションを拒否する傾向が強く、精神病的な問題をも含むタイプです。
 3つタイプのそれぞれの特徴などを一覧にしたので参照してください(表15)。実際の臨床での診断は、表16に示すような診断基準に従って行われています。

選択性緘黙症<こころの病気>の診断と治療の方法

 本症の本質を対社会、対人間との交流障害と考えるなら、治療や対応の目標は、話すことよりもコミュニケーションの拡大と自我の発達を促進することになります。
 タイプIの治療は、患者さんである子どもの不安を理解し、意思や感情を安心して表出できるような環境づくりを目指した精神療法的なはたらきかけが重要になります。
 タイプIIやタイプIIIでは、精神療法などになじみにくく、コミュニケーションも深まらず、家族関係の変化も乏しいケースが多い傾向にあり、よりきめ細かな生活療法的な援助が必要になります。また、時には発達障害や他の精神病性の障害との区別が必要になることもあるので注意しましょう。
 いずれにしても、本症の発生要因は、幼児期に起因することが多いようです。そこで、幼稚園や学校などの教育現場で、精神保健や心の発達の問題として、教育的な立場から早めに気づき、早めに対応することがポイントといえるでしょう。