頭蓋底骨折<外傷>の症状の現れ方

 当初は髄液漏として認められる場合がほとんどです。脳脊髄液(のうせきずいえき)は無色透明ですが、髄液漏では出血を伴っていることが多く、少量でもさらさらした出血は危険な徴候です。顔面打撲に伴う鼻出血との区別は時として困難ですが、どろどろした出血が徐々に止まってくれば、髄液漏の疑いは低いといえます。
 目のまわりが黒くなる「パンダの目」徴候や、耳の後ろの生え際が黒くなる「バトルサイン」は、頭蓋底骨折を疑う徴候とされています。
 脳神経麻痺は遅れて現れることもあり、頭蓋底骨折と診断された場合には受傷後1週間は要注意です。
 前頭蓋底骨折では嗅覚(きゅうかく)障害側頭骨骨折では受傷側半分の顔面の運動麻痺や聴覚障害が現れます。前頭蓋底骨折のひとつである視神経管(ししんけいかん)骨折では、視力障害を来します。

頭蓋底骨折<外傷>の診断と治療の方法

 頭蓋底骨折に伴う髄液漏あるいは脳神経麻痺に対する治療が行われます。
 髄液漏に対しては、1〜3週間程度の絶対安静により頭蓋底からの髄液の流出を抑え、癒着による漏孔の自然閉鎖を期待します。外傷性髄液漏の50〜80%は1〜3週間以内に自然に止まるとされています。また、髄膜炎に対する抗生物質の点滴注射を行うことがあります。腰から脳脊髄液を抜く処置を併用する場合もあります。
 日本のガイドラインでは、1〜3週間の絶対安静を行っても髄液漏が止まらない時や、いったんは止まった髄液漏が再発した場合、髄液漏が遅れて起こった場合を手術適応の基準としており、開頭硬膜形成術(かいとうこうまくけいせいじゅつ)(断裂した硬膜の縫合閉鎖)が行われます。内視鏡を用いた経鼻的修復術が行われる場合もあります。
 脳神経麻痺に対しては、傷ついた脳神経の障害を抑えるため、通常はステロイド薬などによる薬物療法が行われます。
 視神経管骨折側頭骨骨折に対しては、骨折による脳神経の圧迫・損傷を取り除くため、手術が行われる場合があります。
 脳神経麻痺の予後は、損傷を受けた脳神経の種類により異なります。