正常圧水頭症とは

 正常圧水頭症には、明らかな原因がない特発性のものと、原因となる疾患から二次的に生じた症候性のものとがあります。頭部外傷が原因の場合はとくに外傷性正常圧水頭症と呼ばれます。
 脳の中心部には、脳室と呼ばれる空洞があり、脳脊髄液(のうせきずいえき)が満たされています。その脳脊髄液はいくつかの脳室を順に流れて、脳の表面(脳表)から吸収されます。一部は脊髄の周囲(脊髄(せきずい)くも膜下腔(まくかくう))へ流れていきます。この脳脊髄液の通り道に出血が起こると流れが滞り、上流にある脳室が拡大して周囲の脳を圧迫し、障害が出てきます。
 頭部外傷では外傷性(がいしょうせい)くも膜下出血(まくかしゅっけつ)や、外傷性脳室内出血(のうしつないしゅっけつ)がこの原因になります。受傷後数週間かけて徐々にこの変化が起こると、脳室の圧の上昇がほとんどない正常圧水頭症となります。

症状の現れ方

 歩行障害、尿失禁、認知症症状の3つを特徴とし、このうち歩行障害が最も早期にみられる特徴的な症状とされています。麻痺がないのにうまく歩くことができなくなります。

検査と診断

 頭部CTで脳室が正常よりも大きくなっているのがわかります。高齢者の脳萎縮と区別が難しいこともあります。
 正常圧水頭症が疑われた場合は、脳脊髄液の流れが滞っていることを検査するため、腰椎穿刺(ようついせんし)(腰椎の間に細い針を刺して、脊髄くも膜下腔の脳脊髄液を採取したり薬剤を注入する処置)によって造影剤や放射性同位元素を注入し、脳室への脳脊髄液の逆流の有無を調べます。
 これが証明されると、次に述べる手術の効果が期待できます。

治療の方法

 脳室から、胃や腸が入っている腹部(腹腔内)まで細いチューブをとおして、脳脊髄液に新しい流れをつくる手術が行われます。このチューブは皮下に埋め込まれ、詰まったりしないかぎり、成人では一生入れておくことができます。これをV‐Pシャント術といいます。
 腰の部分から脳脊髄液を腹腔へ流すL‐Pシャント術が行われることもあります。