外傷性頸部症候群<外傷>の症状の現れ方

 頭痛、頸部痛、頸椎の運動障害が3大症状です。とくに、頸部痛は約88〜100%に現れるともいわれます。
 後頭部、頸部から背部の痛みやこり、上腕から手指の痛みやしびれ、脱力などの頸肩腕(けいけんわん)症状や、めまい、眼のかすみ、耳鳴り、耳閉感、動悸、声のかすれ、吐き気、顔面の紅潮、全身の倦怠感(けんたいかん)、集中困難などのいわゆるバレルー症状があります。また、時に腰痛を訴えることもあります。
 一般的には事故直後から症状が出ることが多いといえますが、約5分の1は事故後12時間あるいはそれ以降に頸部痛が現れたという報告もあります。

外傷性頸部症候群<外傷>の診断と治療の方法

 基本は保存的治療になります。個人個人で治るまでの期間には差がありますが、適切な治療を受ければ、経過は良好なけがです。基本的には治るものと考えてよく、過度の不安は不要です。
 以下に受傷からの時期に応じた治療法を示します。

(1)急性期(受傷直後〜3週まで)
 急性期では、基本的には手足の外傷に対する治療に準じます。症状が軽ければ外来通院とし、比較的安静をとり、鎮痛薬、消炎酵素薬、筋弛緩薬(きんしかんやく)などの内服薬を投与します。また、冷湿布などの外用薬も有効です。ただし、機械による牽引(けんいん)や温熱療法は急性期に行うと症状を悪化させる危険性があるため、受傷後2〜3週は行いません。症状が中等度であれば、カラーポリネックで頸部を固定するのもよいでしょう。
 頭痛、めまい耳鳴り、吐き気などの症状が強い場合や頸部の運動制限が著しい場合には数日間入院し、ベッドで安静をとることもあります。

(2)亜急性期(3週〜3カ月まで)
 頸椎牽引、温熱療法などの理学療法を行います。場合によっては神経ブロック(星状神経節(せいじょうしんけいせつ)、大後頭(だいこうとう)神経)やトリガーポイント注射を行います。薬物療法は急性期と同様ですが、精神安定薬などを用いることもあります。
 また、社会復帰に向けての日常生活指導や体操療法も行います。頸部のポリネック固定は、長期間行うと頸部周囲の筋力低下や、頸椎の拘縮(こうしゅく)(変形して硬くなる)を生じることがあるので、次第に外していきます。

(3)慢性期(3カ月以上)
 受傷から3カ月以上たった場合には、頸部周囲筋の筋力増強訓練や心療内科で心理療法を行います。また、必要に応じて眼科、耳鼻咽喉科、脳神経外科などの専門医の診察や検査を行います。