脊椎損傷<外傷>の症状の現れ方

 上位頸椎損傷では頸部痛、後頭部痛のほか、頭を両手で支える動作をとることもあります。上位頸椎は呼吸をつかさどる神経の中枢がある場所ですが、脊柱管(前述)が広いために神経麻痺はあっても軽いことが多いといわれています。ただし、重度の損傷では四肢麻痺(ししまひ)や致命的なものもあります。
 中下位頸椎損傷では頸部痛、頸部の運動制限や運動時痛が起こります。この部位では脊柱管が狭いために高率に脊髄損傷がみられ、四肢麻痺を生じます。また、脊髄は損なわれない場合でも神経根が損なわれると、上肢の疼痛、しびれ、筋力の低下がみられます。
 胸・腰椎の脱臼・骨折では、しばしば神経の損傷を合併するため、腰背部痛に加え、両下肢の運動、知覚麻痺を生じます。また、排尿・排便障害を来すこともあります。骨粗鬆症を伴う高齢者の胸・腰椎圧迫骨折では下肢の麻痺が起こることは少ないのですが、しばらくたってから麻痺症状が現れることもあるので注意が必要です。

脊椎損傷<外傷>の診断と治療の方法

 頸椎損傷では、まず首を砂嚢(さのう)や装具で固定し、絶対安静をとります。また、脊髄損傷を合併している場合は、四肢麻痺に加えて呼吸麻痺を起こしている場合があり、気管内挿管(きかんないそうかん)(気管にチューブを入れること)や気管切開による呼吸管理が必要です。
 上位頸椎損傷に対しては、保存的な治療が第一選択になります。中下位頸椎損傷でも安定型の骨折(圧迫骨折、椎弓(ついきゅう)骨折、棘突起(きょくとっき)骨折)で脊髄損傷を伴っていなければ、まず安静をとったのち、装具をつけて離床します。脱臼やずれのある骨折に対しては、頭蓋骨にピンを刺し、牽引(けんいん)することにより整復を行います。その後、頸椎を固定する装具を1〜2カ月間装着します(図7)。
 中下位頸椎損傷で、脱臼や骨折が整復されない場合や、脊髄損傷を伴う場合には手術が行われます(図8)。手術の目的は、脱臼、骨折に対する整復操作、圧迫された脊髄の除圧、不安定な脊柱の再建です。
 胸椎、および胸・腰椎損傷では強い外力によることが多いため、血気胸(けっききょう)や腹部臓器の損傷を合併することが多いので注意が必要です。脊髄の麻痺を伴わない圧迫骨折では、安静、臥床(がしょう)のあと、装具(硬性コルセットなど)をつけて離床します。脱臼骨折では手術で整復、固定を行い、粉砕(ふんさい)(破裂)骨折では脊柱管内に飛び出た骨片を除去して、固定します(図9図10図11)。
 胸髄損傷では完全麻痺の場合が多く、手術によっても回復する可能性はほとんどありませんが、早期にリハビリを開始することなどの目的で手術を行う場合もあります。