外傷性気胸とはどんな外傷か



 空気が胸腔内にたまって、肺が虚脱(きょだつ)(小さく収縮)した状態を気胸と呼びます(図36‐A)。通常、胸腔内の圧は外気圧より低くなっていますが、外傷などで外から空気が流入すると、肺は縮んで呼吸できなくなります。
 胸腔内へ空気が流入する経路としては肺損傷、気管・気管支損傷、胸壁(きょうへき)損傷があります。外傷性気胸の多くは、肋骨(ろっこつ)の骨折端による肺損傷に伴って発生します。


 気胸のうち、胸壁が損傷されて外界の空気が胸腔内に入ったものを開放性気胸と呼びます(図36‐B)。外界の空気が胸壁創(そう)を通って自由に胸腔内へ出入りするため、損傷した側の肺は高度に虚脱し、強い呼吸障害を伴います。

原因は何か

 大きな外力が胸壁に作用した結果であり、交通外傷や墜落外傷のほか、挟圧(きょうあつ)外傷(はさまれたことによる外傷)や暴行などによる場合もあります。開放性気胸は、胸部刺創(しそう)(刺された場合など)や爆傷(爆発によって受ける外傷)の際にみられます。

症状の現れ方

 症状は呼吸運動により強まる胸の痛み、息切れ、呼吸困難、胸内苦悶(くもん)などで、時に皮下気腫(ひかきしゅ)を伴うことがあります。
 開放性気胸では、外界の空気が胸壁創を通って自由に胸腔内へ出入りするため、損傷側の肺は高度に虚脱し、呼吸困難やチアノーゼ(皮膚などが紫色になる)を示します。胸部を観察すると胸壁創からの空気の出入りが認められ、傷が小さい場合には呼吸運動に伴い、胸壁創から「しゅっしゅっ」あるいは「ぶーぶー」などの音が聞こえることがあります。

検査と診断

 開放性気胸は前述の症状から診断可能ですが、胸壁に傷を伴わない通常の気胸の多くは、医師の診察と胸部単純X線撮影によって診断されます。軽度の気胸の場合には、単純X線撮影で診断がつかず、胸部CT検査で診断されることもあります。

治療の方法

 気胸が軽度であれば安静臥床(がしょう)のみで軽快するものもありますが、進行した場合には胸腔穿刺(きょうくうせんし)(針を刺す)を行って胸腔内の空気を排除したり、胸腔内にチューブを挿入して持続的に胸腔内を吸引する治療が行われます(胸腔ドレナージ)。
 開放性気胸では、胸腔ドレナージを行ったのち、胸壁創を縫合閉鎖します。

応急処置はどうするか

 通常の気胸では、一般の人にできる応急処置はとくにありません。負傷者に楽な体位をとらせ、元気づけるとともに、急いで救急車を手配します。気胸が進行すると、症状にも大きな変化がみられるので、負傷者のそばから離れないようにしてください。


 開放性気胸の場合は、3辺テーピング(図37)を行うと最も効果的です。これができない場合には、息をいっぱいに吐かせた時に、厚手のタオルなどで損傷部を閉鎖することでも症状は緩和します。