前腕骨骨折とはどんな外傷か



 前腕には、外側にある橈骨(とうこつ)と内側にある尺骨(しゃっこつ)の2本の骨があり、中枢では上腕骨と対向して肘関節(ちゅうかんせつ)を形成し、末梢では手根骨(しゅこんこつ)と対向して手関節を形成しています。前腕は小児・成人ともにさまざまな外力によって骨折を生じやすい部位です(図51)。
 肘関節周辺では、尺骨の肘頭(ちゅうとう)骨折・鉤状突起(こうじょうとっき)骨折、橈骨の頭頸部骨折などが起こります。また、尺骨の骨折と橈骨頭脱臼を合併するモンテジア骨折(コラム)も小児にしばしばみられます。
 前腕骨の中央部では、橈骨・尺骨の両方が骨折することも多く、骨折の部位と筋肉のついている場所の関係によって特有な変形が生じます。
 小児では若木骨折といって、若い木を折ったように骨折部が完全に離れない折れ方をすることがあり、一方では、可塑性(かそせい)変形といって骨は曲がっているものの骨折線が見えない場合もあります。
 手関節周辺では、橈骨遠位端(えんいたん)骨折が最も頻度の高い骨折です。とくに高齢者では、末梢骨片が背側に転位するコーレス骨折がほとんどです。
 また、橈骨の骨折と手関節での尺骨頭の脱臼を合併するものは、ガレアッチ骨折と呼ばれています。

原因は何か

 転んで手をついた場合と、何かにはさまれてひねった、強打したなどが骨折の原因になります。同じように手をついた場合でも、年齢や骨の強度などにより骨折の部位・状態が違ってきます。橈骨下端骨折は、高齢者が転んで手をついた時に高率に発生します。

治療の方法

 骨折した骨を癒合させるとともに、肘・手関節の運動や前腕の回内外運動(回旋運動)を損なうことがないように治療することが重要です。
 前腕骨の中央部の骨折では、大きく曲がったままで癒合すると、回旋制限(まわしにくくなる)が生じます。また、肘・手関節に近い部位での骨折では、ずれて癒合すると関節の動きが損なわれて後遺症を残すことがあり、とくに小児では成長するにつれて障害が目立ってくることもあります。
 骨折の状況によっては、小児でも手術を行う必要のあることもあり、専門医の治療が必要です。また、神経麻痺や血管損傷が合併していないかどうかも、治療上重要な点です。