ガス壊疽とはどんな病気か



 細菌が創(そう)(傷口)から侵入することにより、筋肉が壊死(えし)を起こす致死性の疾患です。皮膚や皮下組織、筋肉などに感染を起こす疾患を軟部組織感染症(なんぶそしきかんせんしょう)といいますが、そのうちガス壊疽は筋肉を中心にメタンや二酸化炭素などのガスをつくりながら感染が広がることが特徴です(表12)。
 ガス壊疽は、クロストリジウム属の菌により起こるクロストリジウム性ガス壊疽と、連鎖球菌(れんさきゅうきん)や大腸菌などのほかの細菌で起こる非クロストリジウム性ガス壊疽の2つに大別されます。
 以前は、戦争や各種災害による外傷後の感染症としてクロストリジウム性ガス壊疽が多くみられましたが、最近では、易感染宿主(いかんせんしゅくしゅ)(コントロールできていない糖尿病肝硬変(かんこうへん)、抗がん薬や免疫抑制薬の投与中などで免疫力が低下して感染しやすい患者さん)の外傷を契機に感染する非クロストリジウム性ガス壊疽が増加しています。

原因は何か

 外傷創(そう)や熱傷(ねっしょう)創、手術創、褥瘡(じょくそう)(床ずれ)、糖尿病性壊疽などの創からガス産生菌が組織へ侵入すると、壊死に陥った組織内で増殖が起こり、毒素をつくって全身に影響を及ぼします。

症状の現れ方

 外傷後、創から菌が侵入すると、早いものでは数時間で傷の痛みが強くなり、発赤の範囲が広がります。最初は赤くはれ、次に壊死により創は褐色から黒色になり、握雪感(あくせつかん)(雪を握りしめるような感触)などの所見を示し、腐敗臭やドブ臭を発します。
 進行すると、多量の毒素や壊死物質が血中に流入することにより、貧血、血尿、黄疸(おうだん)などの症状が現れ、敗血症、多臓器不全症になり、救命は極めて難しくなります。

検査と診断

 創の周囲のはれ、壊死などの所見が認められた場合、ガス壊疽を疑い、患部のX線撮影やうみの細菌検査を行います。X線撮影で筋層内にガス像を確認することにより診断されます。また、細菌検査により原因菌を特定し、治療方針を決定します。

治療の方法

 薬浴とともに抗菌薬を創に塗布、あるいはペニシリンなどの抗菌薬を大量投与し、創を切開してうみを排出させ、壊死組織を切除します。手足の末端の炎症が膝や肘以上に進行し、重篤な全身症状を伴う場合では、救命のために患肢の切断を要します。
 なお、クロストリジウム性ガス壊疽では、高圧酸素療法がよく効き、切断を免れるものもあります。
 糖尿病や肝硬変などの基礎疾患がある場合は、その治療も同時に行います。

ガス壊疽に気づいたらどうする

 病院の救急部門あるいは外科、整形外科を受診します。症状が急速に進行する場合や全身症状が認められた場合は、すぐに受診するか、救急車を呼んでください。