アイゼンメンジャー症候群とはどんな病気か

 チアノーゼ(皮膚や粘膜が紫色になる)があり、喀血(かっけつ)で亡くなった32歳のウイーンの患者さんに大きな心室中隔欠損(しんしつちゅうかくけっそん)があったことを、アイゼンメンジャー医師が約100年前に医学雑誌に報告しました。その名前にちなんで、肺高血圧があるために静脈血が動脈側に流れ込み、チアノーゼが出現するに至った状態をアイゼンメンジャー症候群と呼ぶようになりました。
 肺動脈圧は、心臓の収縮と拡張に伴って変化しますが、収縮期血圧と呼ばれるいちばん高い血圧と、拡張期血圧と呼ばれるいちばん低い血圧、そしてその平均である平均血圧で表されます。肺動脈の圧力は、カテーテルという細い管を肺動脈まで入れて測定したり、心エコー装置で体外から推定したりします。
 肺動脈の平均血圧が25mmHg以上ある場合を、肺高血圧があると定義します。軽度の肺高血圧の人はアイゼンメンジャー症候群とは呼びません。また、肺動脈圧が高い状態でも、大量の動脈血が静脈側に流れ込んでいる状態はアイゼンメンジャー症候群とは呼びません。
 アイゼンメンジャー症候群は心房中隔欠損(しんぼうちゅうかくけっそん)、心室中隔欠損動脈管開存(どうみゃくかんかいぞん)など、通常は動脈血が静脈側に流れ込む病気をもつ人が、肺高血圧がだんだん高度となって、静脈血の一部が動脈側に流れ込むようになって発症します。
 アイゼンメンジャー症候群になると、心室中隔欠損動脈管開存がある場合には、肺動脈の収縮期血圧と大動脈の収縮期血圧とはほぼ同じになります。

検査と診断

 アイゼンメンジャー症候群になると、心臓のもともとの病気を治す手術は非常に危険が高くなります。手術をあえて行って、たとえ生存しえても、その後の寿命をかえって縮める危険性が高くなります。
 したがって、本症候群かどうかの境界にいる人で、手術を受けようとする場合には、心臓カテーテル検査を含めた厳密な検査を受ける必要があります。カテーテル検査はリスクはありますが、診断のために最も重要な検査のひとつです。

治療の方法

 全身麻酔を伴う手術は非常に危険なため、全身の血圧を下げる可能性のある薬は、医師と相談して納得のうえで使用することが重要です。
 在宅酸素や肺高血圧に対する経口薬、静脈投与薬に効果があるとする報告があります。使用するとしたら、どの薬を使用するかを、医師と相談して使用するようにしてください。
 肺塞栓(はいそくせん)予防のためのアスピリンやワルファリンという薬剤は、通常は使用しません。ただし、ほかの目的のために使用することがあるので、医師と相談してください。
 かぜ症状がないのに熱が続いたり、頭痛がひどい時には、心内膜炎や脳膿瘍の可能性もあるので、かかりつけ専門医に相談しましょう。
 アイゼンメンジャー症候群では、妊娠、出産は禁忌(やってはいけないこと)です。