感冒(かぜ)<呼吸器の病気>の症状の現れ方

 ウイルスの種類によって症状は少しずつ異なります(図2)。通常、体のだるい感じや寒気、のどや鼻の乾燥感などが1〜2日続いたあと、のどの痛みや鼻水、鼻づまり、頭痛、発熱などが現れます。そのまま治ることも多いのですが、引き続いて咳(せき)や白っぽい粘液のような痰が出たりします。咳や痰が出ることは、炎症が下気道へも広がり始めたことを意味しており、発熱も含めて症状はさらに強くなります。
 しかし、これらの症状は侵入したウイルスに熱を加えて退治したり、粘液に溶かし込んで弱らせながら痰として体外に排出したりする正常な防御反応ですから、体力を損うような症状でなければむやみに解熱したり咳を鎮(しず)めすぎたりするのは考えものです。
 ただ、ウイルスを退治するために体内で生産される物質(炎症性サイトカインなどという)は頭痛やだるさ、鼻水、のどの痛み、高熱、食欲不振などの副反応を引き起こします。小さな子どもでは、腹痛や下痢、嘔吐などの全身症状が出ます。こうした体力を弱らせる症状は抑える必要があり、その治療(解熱薬、鎮痛薬、整腸薬、点滴など)を対症療法といって、かぜの大切な治療法のひとつです。
 ところで、ヒトは年に何回くらいかぜをひくのでしょうか。子どもは年に平均4回以上、大人は2回以上とか、5歳以下は年8回以上、その母親は5回以上、父親も4回以上とする統計などがありますが、軽いかぜのことは忘れやすいので、それ以上かもしれません。

感冒(かぜ)<呼吸器の病気>の診断と治療の方法

 かぜの治療は大きく2つに分けられます(図3)。「症状の現れ方」で述べた、体力を弱らせてしまうような症状を抑える対症療法がそのひとつです。
 解熱薬、鎮痛薬、抗炎症薬、うがい薬、整腸薬、点滴などですが、解熱成分、鎮痛成分、抗炎症成分などをひとつの錠剤や散剤にまとめた総合感冒薬がその代表です。総合感冒薬には多くの種類があり、とくに鼻みずを抑えるもの、頭痛を抑えるものなど、少しずつ違うので、薬局の薬剤師に相談してください。
 もうひとつは原因療法です。かぜの原因であるウイルスや細菌(ウイルス感染に続いて発症することが多い)を直接退治する根本的な治療です。細菌に効く抗菌薬はたくさんありますが、インフルエンザウイルス以外のかぜウイルスに効く薬はまだありません。重症になりやすいRSウイルスや心臓の合併症が出やすいコクサッキーウイルスなどは、とくに治療薬がほしいものです。
 漢方薬はどうでしょうか? 市販の感冒薬にも漢方成分を配合した薬があります。実は近年、漢方薬の成分が、「症状の現れ方」で述べた炎症性サイトカイン(たくさんの種類がある)をさまざまに調節して、かぜやインフルエンザの諸症状を鎮めることがわかってきました。経験的につくられてきた漢方薬のはたらく仕組みが、実は合理的であることが科学的に解明され始めたのです。解明がさらに進めば、漢方薬がもっと使われるようになると思われます。