細菌性肺炎<呼吸器の病気>の症状の現れ方

 細菌性肺炎の症状としては、発熱、咳(せき)、膿性(のうせい)の痰がみられ、それに加えて胸痛がみられることもあり、この場合は胸膜(きょうまく)への炎症の広がりを示唆します。身体所見では、呼吸数や脈拍の増加がみられます。重症例では呼吸困難、チアノーゼ、意識障害がみられ、緊急に治療を開始する必要があります。
 咳と痰という症状の共通する気管支炎に比べ、高い発熱や胸痛、呼吸困難などは肺炎を疑わせる症状です。医療機関へのできるだけ早い受診をすすめます。

細菌性肺炎<呼吸器の病気>の診断と治療の方法

 まず、外来で治療するか入院するかを決めます。軽症で通院が可能であれば経口薬の投与が、中等症以上で入院が適切だと思われた場合は注射による治療が選択されます。入院でも重症度が高度の場合、集中治療室への入院がすすめられます(図12)。また、基礎疾患があったり高齢者の場合は、軽症でも入院して治療し、軽快する傾向を確認したうえで外来治療にするほうが安全だと考えられています。したがって、入院か外来治療かは、重症度ばかりでなく、家庭での看護の状況や基礎疾患に伴う重症化の可能性も考慮して、医師が判断することになります。
 細菌性肺炎では、原因になっている細菌に合わせた適切な抗菌薬を選択することが治療の基本です。肺炎球菌や黄色ブドウ球菌といったグラム陽性菌と、インフルエンザ菌やクレブシエラなどのグラム陰性菌では、選択する抗菌薬の種類が違ってきます。また、その施設や地域によって、同じ種類の細菌でも薬剤に対する感受性が異なるため、その点も考慮しなければなりません。とくに、抗菌薬に耐性(たいせい)がある細菌の区別が重要で、感染症治療の最も大きなポイントになります。
 たとえば、これまで細菌性肺炎で最も頻度の高い肺炎球菌にはペニシリン系の抗菌薬がよく効いていたのですが、最近、ペニシリン耐性肺炎球菌という耐性菌の頻度が増え、抗菌薬治療が難しくなってきています。そのため、重症や基礎疾患のある人、高齢者では、経口薬ではニューキノロン系が、注射薬ではカルバペネム系が選ばれます。このように、重症度、基礎疾患、耐性菌の頻度などを総合的に判断して、抗菌薬の投与法や種類が選択されます。
 誤嚥性(ごえんせい)肺炎を起こした場合は、口腔内の清浄が保たれていないことが大きな原因になります。歯みがきを励行し、かつ歯肉の化膿性病巣などを歯科で治療してもらうことも必要です。
 進行の急激な重症の肺炎の場合、レジオネラ肺炎を疑うことが大変重要です。レジオネラ肺炎の場合、通常よく選択されるセフェム系などの抗菌薬では無効で、マクロライド系、ニューキノロン系、リファンピシンといった抗菌薬を優先的に選択し、すばやく投与する必要があります。レジオネラ肺炎の場合は、疑うか、疑わないかで生死が分かれるといっても過言ではありません。とくに、肺炎になる前の1〜2週間の間に温泉旅行に行ったことのある人、あるいは透析中などの、免疫に影響する治療を受けている人では注意が必要です。