ニューモシスチス肺炎とはどんな病気か

 ニューモシスチスは真菌の一種で、ヒトの細胞性免疫が低下状態になった時に、両側性びまん性間質性肺炎として発症します。とくに、抗がん薬治療や副腎皮質ステロイド療法を受けている患者さん、自己免疫疾患、臓器移植、エイズ、先天性免疫不全の患者さんに合併して発症します。

どのように感染するか

 ニューモシスチスは、ヒトの肺に潜在的に寄生していますが、免疫の低下により顕性化し、肺胞内に充満するように増殖します。このため酸素がうまく血液中に取り込めず、低酸素血症が起こってきます。増殖にはI型肺胞上皮細胞の存在が必要とされ、肺以外の病変は極めてまれです。

症状の現れ方

 空咳(からせき)で始まり、やがて呼吸困難、発熱、低酸素血症へと進展しますが、早い時期から呼吸困難が強いことが特徴です。また、免疫応答がほとんど生じないため、肺胞内の液体成分に乏しく、痰が出にくいのが特徴です。
 HIV(エイズウイルス)に感染している患者さんとそうでない患者さん(非HIV)では進行速度に差があり、前者では比較的ゆっくりと進行するのに対し、後者では数日の経過で急速に進行します。

検査と診断



 図19に検査と診断のフローチャートを示しました。血液検査では、二酸化炭素の上昇を伴わない低酸素血症、LDH上昇、β(ベータ)‐D‐グルカンの高値などが診断的価値の高い指標です。胸部CTでは肺胞中心性の肺野濃度上昇がびまん性にみられますが、区域によって濃淡のある地図状分布を示すことが多く、気腫性(きしゅせい)変化もよく認められます。
 確定診断は、喀痰(かくたん)、気管支肺胞洗浄液あるいは経気管支的肺生検の材料から染色で菌体の証明、あるいは遺伝子診断で決定されます。

治療の方法



 主な治療薬は、ST(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)合剤とペンタミジンです(図19)。治療薬の選択は、基礎疾患や骨髄・肝腎機能にもよりますが、ST合剤が最も有効であり第一選択薬です。ST合剤には経口と経静脈の2つの投与ルートがありますが、注射薬は溶解度の点から多量の水負荷が必要であり、経口投与でも十分な体内移行が得られるため、経口投与が望ましいとされています。
 治療期間は3週間が標準です。そのほか、初期からの副腎皮質ステロイドホルモン薬の併用は、予後を改善することが明らかとなっています。