びまん性汎細気管支炎(DPB)とはどんな病気か

  • びまん性汎細気管支炎(DPB)は、気道と肺胞(はいほう)の境界にあたる呼吸細気管支を中心に慢性の炎症が起こる病気です。
  • 肺全体に広範に起こるため“びまん性”、気管支の腔内、壁内、壁周囲に炎症が起こるため“汎”という言葉がつけられています。
  • この病気は、1969年に本間、山中らによって日本で初めて提唱されました。
  • 人種特異性が強く、日本、韓国、中国でみられ、欧米人での発症は極めてまれです。
  • 発病年齢は10〜70代までと幅広いのですが、中年以降に多く、喫煙とはとくに関係はありません。
  • 以前は、慢性気道感染により呼吸不全が進行し予後不良となることが多かったのですが、エリスロマイシンなどの14員環系(いんかんけい)マクロライド(抗菌薬の一種)の少量長期療法が登場したことで、生命予後は著しく改善されました。

びまん性汎細気管支炎(DPB)の原因は何か

  • 明らかな病因は不明です。
  • 慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)を合併しやすいことから、気道の防御機構に関連する遺伝子や体質的要因の関与が考えられています。
  • また、日本人の患者さんでは、白血球抗原のうちHLA‐B54を保有する率が高いことが指摘されています。

びまん性汎細気管支炎(DPB)の症状の現れ方

  • 症状は慢性の痰、咳(せき)、労作時(ろうさじ)の息切れ(体を動かした時に出現する息切れ)です。
  • 痰は初期には少ないですが、細菌感染が加わると量が増え、黄色〜緑色などの膿性(のうせい)になります。
  • 病状が進行すると、さらに痰の量が増加し、安静にしている時にも息切れが出現するようになり、呼吸不全になることもあります。

びまん性汎細気管支炎(DPB)の検査と診断

  • 肺機能検査(スパイロメトリー検査)で1秒率(FEV1:努力性肺活量に対する1秒量の比率)が70%未満の気流閉塞が認められます。
  • 低酸素血症は比較的早くから認められ、重症になると高二酸化炭素血症を伴います。
  • 血液検査では白血球の増加、CRPの陽性がしばしば認められ、寒冷凝集素値の持続高値が高い頻度で認められます。
  • 胸部X線写真では、肺の過膨張(かぼうちょう)とびまん性の小粒状影が認められます。
  • 病状が進行すると、気管支拡張や輪状陰影、線維化陰影も認められます。
  • 胸部CT検査では、びまん性の粒状影、分岐した線状陰影、気道の壁の肥厚や拡張像がはっきりと描き出され、診断上重要です。
  • 喀痰(かくたん)検査では、初期〜中期には、インフルエンザ桿菌(かんきん)や肺炎球菌が検出されますが、進行すると緑膿菌(りょくのうきん)が検出されます。

びまん性汎細気管支炎(DPB)の治療方法

  • 第一選択は、エリスロマイシンの少量長期投与です。
  • それが効かない場合には、クラリスロマイシンなどの他の14員環系マクロライド薬が有効な場合もあります。
  • いずれも、気道炎症を改善させる効果を目的に使用されます。
  • 咳、痰や気道れん縮に対しては、喀痰調整薬の投与やネブライザーなどによる吸入療法、β(ベータ)刺激薬、キサンチン製剤などの気管支拡張薬が使用されます。
  • 痰が非常に多い場合は、体位排痰法や排痰を介助する器具などにより痰の排出を促すことも重要です。
  • 気道感染に対しては、βラクタム薬やニューキノロン系抗菌薬、抗緑膿菌抗菌薬などが使用されます。
  • また、病状が進行して呼吸不全になった場合には、在宅酸素療法が行われます。

びまん性汎細気管支炎(DPB)に気づいたらどうする

  • 咳や膿性(黄色〜緑色)の痰が長く続く場合、とくに蓄膿症(ちくのうしょう)がある人は、この病気の可能性があるので呼吸器内科を受診することをすすめます。
  • 有効な治療法がある一方、病気を放置しておくと呼吸不全になることがあるため、早期に受診しましょう。