脊髄空洞症とはどんな病気か

 脊髄の中心部に脳脊髄液(のうせきずいえき)がたまった空洞ができることにより、脊髄を内側から圧迫して、いろいろな神経症状を呈する病気です。発症に男女差はなく、あらゆる年齢層にみられます。

脊髄空洞症の原因は何か

 空洞のできる詳しいメカニズムはまだよくわかっていません。脊髄空洞症を原因により大きく分類すると、(1)キアリ奇形(小脳の下端が脊椎(せきつい)のほうに垂れ下がったようにめり込んでくる奇形)に伴う脊髄空洞症、(2)癒着性(ゆちゃくせい)くも膜炎(脊髄の周囲に炎症が起こり、髄膜に癒着を起こしたもの)に伴う脊髄空洞症、(3)脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)に伴う脊髄空洞症、(4)脊髄出血後の脊髄空洞症、などに分けることができます。

脊髄空洞症の症状の現れ方

 症状の現れ方は、空洞の大きさや長さによって異なります。頸髄(けいずい)に発生することが多いため、上肢や手の痛みまたは感覚障害で始まることが多く、空洞が拡大すると手や腕の麻痺や筋萎縮(きんいしゅく)、歩行障害、さらには排尿や排便の障害が出てきます。
 上肢にみられる感覚障害には特徴があり、温痛覚(おんつうかく)(温度や痛みの感覚)は障害されますが、触覚と振動覚・位置覚などの深部感覚は保たれます(解離性(かいりせい)感覚障害)。そのため、腕を強くつままれた時に触れられたという感覚はあるのに、痛みを感じない、あるいは火傷をしても熱さを感じないということが起こります。
 空洞が延髄(えんずい)に及ぶと(延髄空洞症)、顔面の感覚障害や嚥下(えんげ)障害が起こります。このため食事の際に飲み込みが悪くなったり、飲み込んだ水分が誤って気管に入る(誤嚥(ごえん))ことがあります。

脊髄空洞症の検査と診断


図25 脊髄空洞症(MRI像)
 診断には頸椎(けいつい)のMRI検査が役に立ち、これでほぼ診断がつきます(図25)。MRI検査では特殊な撮り方をすると脊髄液の流れを画像化することができ、これも診断や治療方法を決める際に有用です。また、脊髄腫瘍に合併するタイプの脊髄空洞症では、造影剤を用いたCT検査を行います。

脊髄空洞症の治療方法

 感覚障害などの症状に対しては、薬剤による対症療法を行います。キアリ奇形に伴う脊髄空洞症の場合は、大後頭孔(だいこうとうこう)減圧術と呼ばれる外科的手術を行います。この手術は頭から首に移行する部分で脊髄周辺の空間を広げて、髄液の流れをよくするというものです。多くの例で、空洞が縮小して、症状も軽快します。
 しかし、症状がある程度以上進行してしまったあとで手術をしても有効でない場合が多いので、早期に診断して治療することが大切です。

脊髄空洞症

脳や脊髄は液体の中に浮かんで、外部からの衝撃から守られています。この液体を脳脊髄液といいます。脊髄空洞症では、脊髄の中にこの脳脊髄液がたまった大きな空洞ができて脊髄を内側から圧迫するため、いろいろな神経症状や全身症状をきたす病気です。男女差なく20歳から30歳代の発症が多いのですが、あらゆる年齢層にみられます。学童期の検診では側弯症をきっかけに、空洞症が早期診断される場合があります。