筋ジストロフィーとはどんな病気か



 筋ジストロフィーの定義は、遺伝性で進行性の筋力低下を示すミオパチー(筋肉病)です。さまざまな疾患が含まれており、近年、遺伝子異常が明らかにされ、研究が急速に進歩しつつある分野です。筋ジストロフィーは、その遺伝形式で表4のように分類されます。
 性染色体劣性遺伝病(せいせんしょくたいれっせいいでんびょう)であるデュシェンヌ型は小児期に発症し、20代で死亡する悲惨な疾患であることから最も有名で、一般に筋ジストロフィーといえばこの疾患を指します。ふくらはぎが異常に太くなりますが、力は弱いことから仮性肥大型とも呼ばれます。


 デュシェンヌ型は男性のみがかかる病気ですが、常染色体性(じょうせんしょくたいせい)疾患である肢帯型(したいがた)や筋強直型(きんきょうちょくがた)は両性に発症します(表4)。

原因は何か

 1986年にデュシェンヌ型の遺伝子異常が見つかり、この遺伝子がつくる蛋白質(ジストロフィン)も明らかにされました。この蛋白質は、正常では筋肉細胞の膜の内側に存在しています。
 その後、ジストロフィンと関連している膜蛋白質がたくさん見つかり、それらのうち、いくつかの蛋白質の異常や欠損により、筋細胞中のいろいろな筋ジストロフィーが発症することがわかりました。さらに、その後の研究発展により、ほかの場所にある蛋白質の異常でも筋ジストロフィーを発症することもわかってきました。
 デュシェンヌ型と良性型のベッカー型は、同じ遺伝子の異常で発生します。後者では、遺伝子の障害の性質が違うため軽症となります。
 遺伝子の異常は、筋強直型を除けば遺伝子の一部が欠けたり(欠失)、遺伝子が余分にあったり(重複)、一部が置き換えられるなどの異常がみられます。ただし、顔面肩甲上腕型(がんめんけんこうじょうわんがた)は違うメカニズムで発症するようです。
 肢帯型は従来、常染色体劣性遺伝(じょうせんしょくたいれっせいいでん)疾患とされてきましたが、常染色体優性(ゆうせい)型も発見されました。最近は先天型の遺伝子異常の研究がさかんに行われています。
 筋強直性ジストロフィーは特殊型ですので、あとの項で説明します。

症状の現れ方

 症状は病型ごとに変わりますが、共通の症状は進行性の筋力低下です。病型ごとに障害される筋群が異なります。

治療の方法

 デュシェンヌ型では、歩行可能時期には副腎ステロイドホルモン(プレドニゾロン)が有効であることが判明しました。投与量については専門医と相談してください。デュシェンヌ型の治療としてエクソン・スキッピングという遺伝子治療が始まることになり、期待されています。またリードスルー薬というまったく異なった作用の薬(PTC124〈アタルレン〉)も市販される予定で、遺伝子治療の進歩にはめざましいものがあります。リハビリテーションも有効な手段ですから受けられることをおすすめします。
 合併症として、心不全や呼吸不全があります。とくに後者は頻度が高く、デュシェンヌ型では80%の患者さんで人工呼吸器治療が必要になります。人工呼吸といっても最初から気管切開を行うのではなく、まず鼻マスク式呼吸器を使いますので手軽で簡単に治療が可能です。心不全(しんふぜん)の治療も進歩してきました。専門医を定期的に受診し、全身状態のチェックを受けることが重要です。
 子どもでは教育の面での問題があるため、ぜひ専門医に相談してください。