多発性筋炎(たはつせいきんえん)

その他の筋疾患とはどんな病気か

 膠原病(こうげんびょう)の一種としての多発性筋炎がまず有名です。患者さんの数も多く、診断に苦慮することも多い病気です。何らかの原因で自分の筋肉に自己抗体をつくり、自分の筋細胞を破壊すると考えられます。

症状の現れ方

 発熱、関節炎(関節が赤くはれ、痛い)、筋痛とともに筋力低下が数カ月の間に進行します。皮膚症状が合併すると皮膚筋炎(コラム)と呼ばれますが、本質的には同じ病気と考えます。

検査と診断

 血清CK(クレアチンキナーゼ)値の上昇と、筋生検(組織の一部を採取して調べる検査)での筋細胞の壊死(えし)・再生所見と細胞浸潤(しんじゅん)の出現によって診断できます。血清Jo‐1抗体の出現もみられます。

治療の方法

 膠原病の一種ですから、副腎皮質ステロイド薬の投与が効果的です。発病後6カ月以内に治療を開始することが大切とされています。ステロイド薬の効果が思わしくない症例では、免疫グロブリン大量静注療法が有効だという報告もあります。
 筋痛がある間は安静にしているべきですが、筋痛がなくなったら積極的にリハビリテーションを行うことが大切です。
 中年以降の多発性筋炎の半分近くが、悪性腫瘍(しゅよう)(がん)の一症状です。発症した時点ではがんが見つからないことが多く、数年経過してから初めてがんが見つかることも少なくありません。

先天性(せんてんせい)ミオパチー

その他の筋疾患とはどんな病気か

 先天性ミオパチーは、生まれた時または生後まもなく発症するミオパチー群です。多くの場合は非進行性で良性です。
 この疾患群は顕微鏡検査での所見から分類されています。ネマリンミオパチー、セントラルコア病、中心核病(ちゅうしんかくびょう)、筋線維タイプ不均一症など、医師でも聞き慣れない病型がこの群に含まれています。

症状の現れ方

 症状は生まれた時からの筋力低下です。泣く力や母乳を吸う力が弱く、あお向けに寝ると両足を開いて独特の体位となります。歩行開始など運動発達は遅れますが、概して進行せず、社会生活を送ることが可能です。しかし、重症の場合では生後間もなく人工呼吸器治療を要することもあります。

治療の方法

 リハビリテーションが有効です。

筋強直性(きんきょうちょくせい)ジストロフィー

その他の筋疾患とはどんな病気か

 筋ジストロフィーのなかに位置付けられている病気ですが、ほかの筋ジストロフィーとは違い、内分泌異常、心伝導障害、白内障(はくないしょう)などを伴う多臓器疾患です。

原因は何か

 第19番染色体のMPTK遺伝子のなかで、3つの核酸(CTG)の繰り返しが異常に延長して起こる病気ですが、動物実験でこの遺伝子に異常を起こしたマウスでは軽い異常しかみられません。MPTK遺伝子周囲の遺伝子のスプライシング異常を引き起こすことにより、発症するのではないかといわれています。
 常染色体優性遺伝(じょうせんしょくたいゆうせいいでん)疾患なので、男女両性に発病します。通常は30歳くらいで発病しますが、小児期や生後すぐにも発病することがあります。
 とくに、生後すぐに発病するタイプは先天型と呼ばれ、生後まもなく人工呼吸器の装着を要することもあるなど重症なものです。
 最近、筋強直性筋ジストロフィー第2型が注目されています。通常の筋強直性筋ジストロフィーは手足の先の筋を主に侵すのに、第2型では体に近い部位の筋を主に浸します。日本ではごくまれです。第2型ではCTGではなく、CCTGの4つの核酸の繰り返しが増加しています。

症状の現れ方

 進行性の筋力低下とミオトニー症状です。ミオトニーとは、運動したあとに自分の意思で筋肉が弛緩(しかん)できない状態を指します。たとえば、熱いやかんの取っ手をつかんで熱いと感じても手が放せないというような現象が起きます。
 筋力低下は、一般の筋ジストロフィーが主に体幹筋や肩・腰周囲筋に障害が現れるのに対して、この病気では手足の先端が主に侵されます。

治療の方法

 白内障を90%以上の患者さんが併発しますが、眼科的手術によって対処は可能です。糖尿病の合併が多いのも特徴です。この病気における糖尿病の特徴は、重症化しないものの治療に対して抵抗性があるということです。また、心伝導障害のために心臓ペースメーカーの装着が必要になることもしばしばです。
 このタイプでも呼吸障害が起こりやすいので注意を要します。また嚥下障害が早期からみられることもあります。