ウェルニッケ脳症<脳・神経・筋の病気>の症状の現れ方

 脳内の非常に特異的な場所(乳頭体(にゅうとうたい)、中脳水道周囲、視床(ししょう)など、図41)が病変の好発部位となります。したがって症状も特徴的であり、急性期には眼球運動障害、運動失調、意識障害が3主要症状です。
 眼球運動障害は外直筋麻痺(がいちょくきんまひ)(外方に眼を動かせない)による内斜視(ないしゃし)の形をとることが多く、瞳孔(どうこう)の異常などを起こす内眼筋(ないがんきん)麻痺はまれです。回復してくると水平眼振(がいしん)(眼球が自動的に動揺する)が起こり、自覚的に複視やめまい感が生じます。失調症状としては、つかまり立ちで不安定な歩行といった症状が急性に始まります。意識障害および精神症状としては、無欲、注意力散漫、傾眠(けいみん)(すぐに眠ってしまう)といった軽い意識障害から昏睡(こんすい)まで起こりますが、いずれも本症に特異的というわけではありません。せん妄(もう)・錯乱(さくらん)状態だけが前面に出ていることもあります。
 慢性期になると、見当識(けんとうしき)障害、健忘、記銘力(きめいりょく)障害など、いわゆる物忘れの症状が主体となります。

ウェルニッケ脳症<脳・神経・筋の病気>の診断と治療の方法

 ビタミンB1測定の血液検査は結果が出るまで時間がかかるため、通常は結果が出る前に治療を開始します。ビタミンB1の欠乏は、ウェルニッケ脳症のみならず末梢神経障害も起こすため、四肢(とくに下肢優位)の対称性の手袋靴下型の知覚障害(ちょうど手袋や靴下をはいたように、ジンジン感が生じる)や腱反射の減弱なども伴うことが普通です。治療は早急にビタミンB1を投与することで、早ければ早いほど効果が期待できます。