先天性股関節脱臼とはどんな病気か



 股関節は、骨盤側の入れ物(臼蓋(きゅうがい))と大腿骨側の中身(骨頭(こっとう))からなります。本症は、出生後間もない乳児の骨頭が臼蓋から外れている(脱臼)状態です(図5)。脱臼までなっていないが、外れかかりの状態(亜脱臼(あだっきゅう))、さらに、脱臼や亜脱臼ではないが臼蓋の形成が悪い軽症の状態(臼蓋形成不全)も含めます。

原因は何か

 脱臼は、古くは母体内で発生すると考えられていましたが、今日では、もともと臼蓋形成不全や関節弛緩がある状態で、出生後の肢位(脚の位置)やオムツの巻き方などによって生じるとされています。
 とくに、両下肢を開いた状態(乳児がとる自然な下肢の状態)でなく、気をつけの姿勢のようにまっすぐすぼめた状態でオムツを当てる(巻きおむつ)習慣が脱臼を誘発するとされています。したがって、真の意味の「先天性」ではありません。

症状の現れ方

 注意して観察すると、(1)股の開きが悪い(開排制限)、(2)太ももの近位(付け根)のしわが左右非対称で、片方(患側)の下肢が短くみえる、(3)股を開こうとする動作で物を乗り越えるような振動を感じる(クリック)、といった症状がみられます。

検査と診断

 脱臼であれば専門医が診察すると大方は判明しますが、通常は超音波検査、X線検査を行って、脱臼や臼蓋形成不全の有無を確認します。

治療の方法

 脱臼や亜脱臼が判明すると、リーメンビューゲル紐革(きゅうかく)装具と呼ばれるバンドを装着します。これで多くは数日以内に整復されます(脱臼が治ります)。整復されたら、しばらく(3〜4カ月)バンドの装着を続けます。
 整復されない場合は、入院して牽引を行うなどの治療、場合によっては手術療法などの、次のステップの治療が必要となります。

先天性股関節脱臼に気づいたらどうする

 早めに整形外科専門医を受診することが重要です。