進行性筋ジストロフィー症とはどんな病気か

 筋線維の壊死(えし)・再生を主病変とし、臨床的には進行性の筋力低下と筋萎縮(いしゅく)を来す遺伝性の病気です。
 遺伝形式により、性染色体劣性遺伝のデュシェンヌ型(重症型)、ベッカー型(良性型)、常染色体劣性遺伝の支帯(したい)型(一部は優性遺伝)、福山型、そして常染色体優生遺伝の顔面肩甲上腕(がんめんけんこうじょうわん)型に分類されます。日本では、デュシェンヌ型や福山型が多い型です。

原因は何か

 遺伝子の異常です。原因遺伝子は、ジストロフィンなどのように骨格筋の筋線維表面の形質膜と、それを取り巻く基底膜との相互の接着に関係する構造体を構成する蛋白の異常症である場合が多くみられます。
 以下、代表的なデュシェンヌ型について述べます。この型の遺伝形式は性染色体劣性遺伝で、男児に発症し、発生率は出生男児3500人に1人です。

症状の現れ方

 乳児期には明らかな症状はみられず、歩き始める時期が大きく遅れることはありません。通常、3〜5歳ころに転びやすい、走れないなどの異常で気づきます。
 筋力低下は、四肢近位筋(大腿や上腕の体幹に近い筋肉)に多く、立ち上がる時に一度腹臥位(ふくがい)となり、床に手をついて臀部(でんぶ)を上げ、次に手を膝に当てて体をよじ登るように起立する「登はん性起立」がみられるようになります。足関節の拘縮(こうしゅく)のため尖足(せんそく)歩行(つま先歩き)になってきます。
 下腿のふくらはぎに仮性肥大がみられます。仮性肥大は筋肉ではなく、脂肪や結合織が増えて太くなります。
 多くは8〜10歳で歩行不能となりますが、四肢遠位筋(下腿や前腕の体幹から遠い筋肉)は筋力が比較的保たれます。筋萎縮は、体幹や四肢近位筋に著しくなってきます。
 思春期以降になると筋力低下が進行し、指先以外はほとんど動かなくなって日常生活に全介助が必要になります。咽喉頭筋の筋力低下で経管栄養や胃瘻(いろう)が、呼吸筋の筋力低下により人工呼吸器管理が必要になります。

検査と診断

 血液検査では、筋の逸脱酵素であるクレアチンキナーゼの値が高値を示します。筋電図では筋原性変化を認めます。筋生検では、筋線維の壊死・再生が繰り返されている組織像の変化を認めます。
 確定診断は、遺伝子検査でジストロフィン遺伝子の欠失を確認して行います。

治療の方法

 根本的治療法として薬物療法、遺伝子治療、幹細胞移植治療などが研究されていますが、まだ実用化の段階ではありません。
 現時点では、適切なリハビリテーションと合併症の予防を行うことが大切です。症状の進行に合わせてリハビリテーションを行い、できる限り歩行を継続し、起立・坐位の安定と呼吸機能の維持を図り、環境整備を行ってQOLの向上を目指します。合併症の治療としては心不全、呼吸不全の管理が中心になります。
 人工呼吸器の普及により、呼吸不全で死亡する例が激減していますが、心不全で死亡する例が増加しているので、平均寿命は30歳と依然として短いのが現状です。

進行性筋ジストロフィー症に気づいたらどうする

 まず、近くの小児科を受診してください。診断後は、同じ病気をもつ子どもに対応ができる学校が併設されている専門施設を紹介してもらい、通学することを検討してください。