脊椎骨折とはどんな外傷か

  • 背椎は上半身を支える柱となる部分で、頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)、仙骨(せんこつ)からなります。
  • この骨のなかに、手足の感覚や運動に関与する脊髄(せきずい)や神経がとおっていて、脊椎に骨折が起こると手足に神経の症状が出ることがあります。
  • 図15 転落事故による脊椎骨折(2カ所・CT像)
  • 転落事故や交通事故などの大きな外力で起きた場合は、骨折に加え脊椎の脱臼(だっきゅう)を伴うこともあり(脊椎脱臼骨折、図15)、背骨の配列が乱れることにより脊髄や神経を圧迫すると、上肢や下半身の麻痺(まひ)が出現します。
  • 図16 高齢者の椎体圧迫骨折(X線像)
  • 一方、高齢の女性に起こりやすいのが脊椎圧迫骨折で、これは椎体がつぶれたようになる骨折です(図16)。
  • 発生する部位は、背中の中央部にあたる下位胸椎と上位腰椎がほとんどです。
  • 高齢の女性は骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になりやすく、骨が弱いため尻もちをつく程度の軽いけがでも発生し、時にははっきりした外傷がない状態でも起こります。

脊椎骨折の症状の現れ方

  • 強い外力で起きる脊椎(脱臼)骨折の場合には、骨折部の痛みや不安定感のため動くことができません。
  • また、骨折や脱臼により脊髄や足に行く神経が圧迫されると、頸椎なら四肢や体全体、胸椎なら下半身、腰椎なら下肢の感覚や筋力が低下します。
  • 高齢者の圧迫骨折の症状は、骨折部である背中の痛みで体動時、とくに起きあがる時に強くなります。
  • 背中の痛みは両脇に放散することもあります。
  • 骨折により脊髄や足に行く神経が圧迫されることは比較的まれです。

脊椎骨折の検査と診断

  • X線写真をとります。
  • このほかCTやMRIで、より詳細に骨折部や神経、脊髄を観察します。
  • X線写真は治療中も定期的に撮影して、骨折部の変化を調べます。

脊椎骨折の治療方法

  • 大きな外力による脊椎(脱臼)骨折の場合は、骨折部が安定していればギプスやコルセットで治療します。
  • 骨折部位が不安定な場合には手術を行い、金属で固定して早期から動けるようにします。
  • 上肢や下肢に麻痺が残った場合には、装具やリハビリテーションが必要となります。
  • 高齢者に起こる圧迫骨折の場合、治療は短期間のベッド上の安静で骨癒合(ゆごう)を待ちますが、コルセッ卜やギプスを巻いて、体動時の痛みを和らげます。
  • 受傷直後の痛みは強いですが時間とともに軽快し、3〜4週間程度で痛いながらも受傷前の生活に復帰できます。
  • ただし、受傷直後などに痛みが強い場合には短期間の入院が必要となります。
  • 椎体の骨折の程度が強く、骨片が椎体の後方に存在する脊髄や神経を圧迫して下肢の感覚がなくなったり、力が入らない場合には、手術で圧迫された神経を緩める操作が必要となります。
  • 骨粗鬆症の程度が強く、数カ月たっても骨癒合が起こらず痛みが改善しない場合には、人工骨や骨セメントを骨折部へ注入する治療が行われます。

応急処置はどうするか

  • 大きな外力で起きた脊椎骨折の場合は、傷ついた脊髄や神経をさらに傷める可能性があるので、不用意に体を動かさないことが大切です。
  • 救急車を待つか、何人かで体をねじらないように頭、体、両足を一体として、戸板に乗せて運んでください。
  • 高齢者の圧迫骨折の場合は、足の麻痺がなければあわてる必要はありませんが、整形外科を受診してください。

注意点

  • 脊椎圧迫骨折は比較的治りやすい骨折ですが、骨折部位が数カ所あると背中が丸くなり、身長も低くなります。
  • この骨折の基盤には骨粗鬆症があり、骨折を繰り返さないためにも、普段からその予防と必要な場合には治療を行うことが大切です。
脊椎骨折を含むQ&A
脊椎骨折<運動器系の病気(外傷を含む)>に関連する記事
骨折・ひび・脱臼-乳幼児の事故予防と応急手当