手指伸筋腱損傷とはどんな外傷か

 伸筋腱が断裂すると、筋が収縮しても、その力は骨に伝達されないので、手指を伸ばすことができなくなります。切創(せっそう)や挫創(ざそう)による開放性損傷(かいほうせいそんしょう)と、創(傷)がなくて生じる閉鎖性損傷(へいさせいそんしょう)(皮下断裂(ひかだんれつ))があります。
 皮下断裂には、突き指などの外力によって生じるものと、骨の突出による摩擦や病的滑膜(かつまく)による侵食などによって弱くなった腱が切れる病的断裂があります。病的断裂の原因には、関節リウマチキーンベック病、橈骨下端(とうこつかたん)骨折などがあります。

見落としやすい外傷と合併症

 開放性損傷により手背部(手の甲)で腱が断裂した場合、MP関節(指の付け根の関節)での手指の伸展が悪くなります。しかし、手背部の伸筋腱は、腱間結合という組織で隣の伸筋腱と連結しているので、完全に伸展できなくても、ある程度までの伸展が可能です。

手指伸筋腱損傷の症状の現れ方


図31 スワンネック変形とボタンホール変形
 手指の関節が伸展できなくなります。どの関節が伸展できなくなるかは、伸筋腱が断裂した部位によって異なります。骨折と違って、強い疼痛を伴うことがないのが特徴です。DIP関節(指の第一関節)、PIP関節(指の第二関節)背側での皮下断裂は、放置すると伸筋腱のバランスがくずれ、それぞれスワンネック変形、ボタンホール変形という手指の変形に発展します(図31)。

手指伸筋腱損傷の検査と診断

 創の存在、受傷歴の有無、手指関節の伸展が可能かどうかなどで診断は容易です。

手指伸筋腱損傷の治療方法

 開放性損傷の場合、できるだけ早期に創を開いて、短縮している腱の断端を引き寄せて縫合する必要があります。
 DIP関節、PIP関節背側での皮下断裂は、一般的に保存療法で治療します。装具やアルミの板を用いて、手指を伸ばした状態で4週間以上固定します。この間、固定を外さないようにする必要があります。
 手関節背側で生じた皮下断裂(多くは病的断裂)は手術が必要です。断裂した腱の断端同士を縫合することができない場合が多いので、腱移行術(けんいこうじゅつ)や腱移植術(けんいしょくじゅつ)などを行います。

外傷を負ったら

 早期に整形外科を受診することをすすめます。

手指伸筋腱損傷

手指の屈伸運動は、前腕の筋肉から連続する屈筋腱(くっきんけん)および伸筋腱(しんきんけん)と、虫様筋(ちょうようきん)と骨間筋(こっかんきん)という手のなかの筋肉によって成り立っています。腱は、筋肉の伸縮に伴って大きく手のなかを動き(滑走)、骨を牽引して関節を運動させています。 腱が断裂すると、指の屈伸運動が損なわれますが、断裂した腱の種類や断裂部位などにより、動きが損なわれる関節部位やその程度は異なります。