膝蓋腱損傷とはどんな外傷か

  • 大腿(太もも)の前面にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は、膝蓋骨(しつがいこつ)を介して下腿の脛骨(けいこつ)に付着しています。
  • 膝蓋骨から脛骨までをつなぐ部分が膝蓋腱です。
  • 大腿四頭筋が収縮すると、膝蓋骨‐膝蓋腱‐脛骨を引っ張ることによって膝を伸ばすことができます。
  • 図32 膝関節の伸展機構(a)と膝蓋腱損傷(b)
  • 急激に膝を伸ばそうとする力がはたらいた時、膝蓋腱が筋力に耐え切れなくなって断裂することがあり、これが膝蓋腱断裂です(図32)。
  • 自家筋力(自分の筋力)によってスポーツ外傷として発生することが多いのですが、交通事故や高所からの転落のほか、糖尿病関節リウマチなど基礎疾患をもった人に発生することもあります。

見落としやすい外傷と合併症

  • 膝蓋骨下端の剥離骨折(はくりこっせつ)を伴う場合があります。

膝蓋腱損傷の症状の現れ方

  • スポーツ時の受傷では、走っている時、急に膝関節痛が生じ、膝折れをして転倒するといった発症のしかたをします。
  • 疼痛が強く、歩行は困難で、膝関節の自動運動が不能となります。
  • 基礎疾患(糖尿などの病気)をもった人に発生する場合は、はっきりとした受傷の覚えがないことがあります。
  • その場合、不自由ながら歩行は可能で、強い疼痛がないこともあります。

膝蓋腱損傷の検査と診断

  • 膝蓋骨の下方に圧痛(押すと痛むこと)があり、陥凹(かんおう)(窪み)を触れ、膝の伸展力の低下を認めます。
  • X線検査で、膝蓋骨の上方転位が認められます。
  • 膝蓋骨の下端に薄い剥離骨折を認めることもあります。

膝蓋腱損傷の治療方法

  • スポーツ、事故による外傷では、早期に手術が必要です。
  • 受傷後早期に手術を行えば、縫合術(あるいは補強術の追加)が可能で、良好に経過すればスポーツ復帰も可能です。
  • しかし、受傷から時間が経過していると、腱移植などによる再建術が必要となり、日常生活に支障がない程度に回復しても、元のレベルのスポーツ復帰は困難になります。
  • 基礎疾患をもった人の場合、全身状態、歩行能力などを考慮して、手術の適応を考える必要があります。

外傷を負ったら

  • 膝を伸展位に固定すれば、疼痛は緩和されます。
  • 早期に整形外科を受診することをすすめます。