投球骨折とはどんな外傷か



 ボールを投げる動作またはそれに類似した動作によって、上腕骨(じょうわんこつ)がらせん状に折れるもの(図35)をいいます。1回の強い外力がはたらいて起こる場合と、投手によくみられるような使いすぎによって起こる場合とがあります。
 いずれの場合も、上腕骨の骨幹に回旋力(ひねりの力)が作用して発生すると考えられます。また、この骨折が発生する要因として、ある程度以上の筋力があること、投球フォームが悪いことなどが指摘されています。筋力の弱い小・中学生や女性、正しいフォームを習得している野球部員やプロ野球選手にはあまり起こらず、草野球の選手によく発生します。

合併損傷

 橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)を合併することがあります。橈骨神経麻痺を併発すると、手の指を伸ばすことや手首を手の甲側へ曲げることができなくなって、手が垂れ下がった状態(下垂手(かすいしゅ))になります。この場合は手術が必要になることもあります。

症状の現れ方

 使いすぎによる場合には、疼痛などの前ぶれがあることもありますが、突然発生することが少なくありません。投球動作と同時に「ボキッ」という骨折の音が聞こえ、腕が変形して動かすことができなくなります。

検査と診断

 上腕が内側に曲がった変形と内出血による腫脹(しゅちょう)(はれ)が認められます。X線撮影で上腕骨のらせん状になった骨折線を確認します。神経麻痺の合併が疑われる場合には、神経伝導速度を測定する検査が行われます。

治療の方法

 原則的に保存療法が行われます。保存療法は、(1)吊り下げギプス法(肘を直角にした状態で、上腕の骨折部よりやや上方から手首までギプスを巻いてひもなどで首から吊るす方法)、(2)U字形ギプス副子法(上腕を内側と外側からU字状に作成したギプス副子ではさむように固定する方法)、(3)ファンクショナルブレース法(機能装具療法:上腕部分の全面をプラスチック製の装具でおおい、早期から肘を動かしながら治療していく方法)などがあり、いずれも治療成績は良好です。
 橈骨神経麻痺の合併例の一部や徒手整復が困難な例には、手術療法が選択されることもあります。

応急処置や予防対策はどうするか

 応急処置として三角巾や副子で肘と上腕を固定し、できるだけ早く整形外科を受診することが必要です。予防対策としては、上腕に大きな回旋力がかからないような投球フォームの習得や、投球前の十分なウォーミングアップを行うほか、痛みなどの前ぶれに気づいたら投球を中止することが大切です。