脂肪腫とはどんな病気か

図50 脂肪腫の肉眼的所見と切除された脂肪腫
  • 脂肪組織からなる良性腫瘍で、日常みる機会の非常に多い疾患です。
  • 脂肪腫は薄い膜におおわれており、瘤(こぶ)そのものは皮下脂肪と同じような黄色い色をしています(図50)。
  • 顕微鏡で組織を検査した場合、正常な脂肪組織と同じようにみえます。
  • 40〜50代の女性に多いとされています。
  • 背中や肩のまわり、おしりのまわりの皮下組織によく発生します。
  • 筋肉のなかに発生する場合は大腿部への発生が多くみられます。
  • 大部分の症例は単発性ですが、一人の患者さんにたくさんの脂肪腫が発生することもあります。

脂肪腫の原因は何か

  • 腫瘍の組織を分子生物学的に調べてみると染色体の異常が見つかっていますが、詳しい原因はわかっていません。

脂肪腫の症状の現れ方

  • 痛みのない瘤として意識されます。
  • 皮膚と筋肉の間(皮下組織)に見つかることが多いのですが、これ以外に筋肉のなか、筋肉と筋肉の間、骨の表面や骨のなかなど比較的体の深い場所にも発生します。
  • 痛みや運動障害などの原因となることはまれです。
  • 通常、大きさは長期間にわたって変わりませんが、徐々に大きくなることがあります。
  • 良性腫瘍であるにもかかわらず、5cm以上の比較的大きなものも数多くみられます。

脂肪腫の検査と診断

図51 脂肪腫のMRI像
  • X線検査では、瘤のある部分が薄く透けて写ります。
  • CTやMRIなど詳しい画像検査を行うと、皮下の脂肪組織と同じ信号を発する腫瘍が認められます(図51)。
  • 大きなものや急に大きくなるものは、悪性腫瘍に分類される脂肪肉腫と区別する必要があります。
  • ある程度は画像診断などでも予想がつきますが、最終的には顕微鏡で組織を検査することなどで決定します。

脂肪腫の治療方法

  • 比較的小さく、痛みなどの症状がない場合は経過をみるだけでよいことが大半です。
  • 体の比較的目立つ部分に発生した場合は手術で取り除きます。
  • 手足にできた小さなものは、多くは日帰りの手術が可能です。
  • 比較的大きい場合(5cm以上)や短期間に成長する場合は、悪性腫瘍である脂肪肉腫との鑑別を目的として組織を採取する手術を行います。
  • 悪性であるとわかった場合は治療法が異なりますので注意が必要です。

脂肪腫に気づいたらどうする

  • まず、近所の整形外科医に相談してみてください。
  • 体に発生した瘤は、通常の診察だけでは病名の決定ができません。
  • 必要があればX線、MRIなどの検査を行います。
  • 典型的な脂肪腫であればこの時点で診断がつきます。
  • また、もし瘤が脂肪でない場合もMRIでわかります。
  • 悪性の疑いのある場合は、整形外科分野の腫瘍を専門とする医師のいる施設(地域のがんセンターや大学病院)に紹介してもらいましょう。

関連項目

脂肪腫

脂肪腫とは、皮下脂肪を構成する細胞と同様の脂肪細胞(脂肪を蓄えた細胞)が増殖して、しこりを形成したものです。通常、皮下脂肪のなかに生じる比較的ありふれた良性腫瘍(できもの)です。