腱鞘巨細胞腫とはどんな病気か

 手や足の指によくできる良性腫瘍です。30〜50代の成人によくみられます。男性よりも女性に多く発生します。手や足の指を動かすすじ(腱鞘)のまわりから、巨細胞という通常の細胞よりも少し大きくみえる細胞を含む腫瘍ができることから、腱鞘巨細胞腫という名前がつけられました。


 実際に手術をしてみると、ほかの部分は簡単にはがれるのに腱鞘と接している部分は、腫瘍が腱鞘に強く付着していることがわかります(図55)。良性腫瘍に分類されていますが、まわりに広がる傾向が強く、手術後に再発しやすい腫瘍のひとつです。

原因は何か

 腫瘍組織を分析すると、ある種の染色体異常があるようですが、詳しい原因はよくわかっていません。

症状の現れ方

 手の指や足の指に徐々に大きくなる瘤(こぶ)ができることで、患者さんが気づくことが多いようです。痛みはあまりなく、もしあっても強い痛みになることはそれほどありません。関節の運動障害の原因となることがあります。
 悪性腫瘍のような急な成長を起こすことはあまりありませんが、放置しておくと大きくなり、骨や関節を壊していきます。

検査と診断

 X線検査では瘤が塊として写ることがあります。また、骨を破壊した場合、骨が溶けている像が写ります。診断と治療にはMRIなどの詳しい画像検査が必要です。MRIでは、腫瘍と骨の関係以外に、腱鞘と腫瘍が付着している様子や、腫瘍の詳細な広がりが確認できます。
 ある程度は画像診断などでもこの病気であることが予想できますが、顕微鏡で腫瘍の細胞を検査することで最終的な診断をつけます。

治療の方法

 手術で切除するのが唯一の治療法です。骨や関節、重要な靭帯(じんたい)(側副靭帯)が破壊されている症例や、骨のまわりがすべて腫瘍に取り囲まれている症例は、手術を行っても、関節の機能をすべて回復するのが難しいことがあります。
 こうした進行例では、指先に通っている神経のすぐそばまで腫瘍が迫っていることも多く、手術で神経の障害が出ることもあります。こうしたことから、この腫瘍を疑った場合は、小さいうちに手術するのがよいと考えられます。

腱鞘巨細胞腫に気づいたらどうする

 一般の方々に認識されているよりも、意外と数が多い腫瘍です。指などに徐々に大きくなる瘤を見つけた時には、整形外科医に相談してみてください。
 必ずしも骨軟部腫瘍専門医あるいは手の外科の専門医のみが治療している病気ではありませんが、専門医の治療を受けたほうが無難である場合もあります。