悪性末梢神経鞘腫瘍とはどんな病気か

 神経に発生する悪性腫瘍(肉腫)で、すべての肉腫の症例の5〜10%程度を占めるに過ぎないまれな腫瘍です。約半数が、良性の神経線維腫(しんけいせんいしゅ)が多発する神経線維腫症I型(レックリングハウゼン病)という病気を発生母地にもつといわれています。
 この病気は、20〜50代にかけての発生が多いのですが、神経線維腫症I型が関係している場合はやや若い年齢層に発生します。

原因は何か

 複雑な遺伝子異常によるといわれています。一部の症例は病気になりやすい状態が遺伝するために起こります。

症状の現れ方

 急速に増大する瘤(こぶ)として自覚されるのはほかの肉腫と同様ですが、ほかの肉腫に比べて痛みを伴うことが多いといわれています。またこの腫瘍は、手足の運動や感覚機能を維持している神経に発生することが多いため、腫瘍が発生した神経が司る運動や知覚機能の障害や、強いしびれが発生します。
 神経線維腫症I型の患者さんはもともと体の皮膚にたくさんの瘤が発生しています。長い間にわたって大きさの変わらなかった瘤(こぶ)が短期間に大きくなる場合は、良性の神経線維腫が悪性化した可能性があります。悪性化する確率は調査により異なるものの、およそ数%〜10%程度といわれています。
 病気が進行すると、病気が最初に発生した部位から、血液やリンパ液の流れにのってほかの臓器に移ることがあり、この現象を転移といいます。悪性末梢神経鞘腫瘍の場合、最も転移しやすい臓器は肺であり、大きくなってくると呼吸困難の原因となります。

検査と診断



 神経線維腫症I型の患者さんにできた瘤が、今までと違って急に大きくなってきた時はこの病気を疑います(図60)。最近では、腫瘍の悪性度を映像化できる画像検査(PETなど)で定期的に神経線維腫症の患者さんの状態を把握し、画像に現れる信号から悪性化を予想することが試みられています。
 肉腫である可能性をもつ瘤が発見された場合、まずMRIなどの詳しい画像検査で病気の広がりを確認しますが、外来での瘤の観察や画像検査のみでは病名を確定することはできません。針を患部に刺して細胞を採取するか、小手術で組織を採取するなどして、顕微鏡で病変部を検査して確定診断します。

治療の方法

 放置すると巨大になり、また肺などに転移します。手術が治療の基本で、まわりの健康な組織を腫瘍と一緒に切除して再発(手術した場所から腫瘍が再び発生すること)を極力少なくします。
 この病気は、手足を動かす大切な神経そのものにできていることがありますが、救命のためには神経の機能を犠牲にしても腫瘍を取り切る必要があります。
 5年累積生存率はおよそ50%前後で、現在でも治療の難しい病気のひとつです。

悪性末梢神経鞘腫瘍に気づいたらどうする

 がんセンターや専門の大学病院での治療が必要です。

関連項目

 神経線維腫神経鞘腫