ペルテス病とはどんな病気か



 小児期に、股関節内の大腿骨頭(だいたいこつとう)(大腿骨の骨盤側、球形のため骨頭と呼ばれる)部の骨端核(こつたんかく)(成長軟骨部)が障害される病気です(図61)。股関節痛のため歩行が困難になったり、跛行(はこう)(歩く様子に異常を認めること。左右の下肢長が異なること、痛み、筋力低下などが原因で起こる)を生じます。
 骨端症の一種で、同じ部位に発生する成人の大腿骨頭壊死(えし)症と異なり、小児の旺盛な修復機転により骨成長期を通じて大腿骨頭は修復されます。病変部の大小により治癒の程度に差を生じます。
 1910年にレッグ(米)、カルベ(フランス)、ペルテス(ドイツ)が、別々にこの病気について報告しています。国によって呼び名が異なり、正式にはレッグ‐カルベ‐ペルテス病(L‐C‐P病)と呼ばれますが、日本では慣用的にペルテス病と呼ばれています。

原因は何か

 大腿骨頭骨端核(成長部)の血流障害と考えられていますが、血流障害が発生する原因は不明です。骨端症のなかでは最も頻度が高く、3〜4歳から10代前半までの広い年代に発生します。男子に多くみられます。

症状の現れ方

 股関節の痛みや運動の制限、跛行を生じます。ペルテス病は股関節の病気ですが、はじめは膝関節に痛みを訴えることが多いとされています。膝痛(しつつう)に目を奪われ、股関節疾患の診断に長期間かかることがめずらしくなく、小児では膝の痛みを訴えても股関節の診察が必須です。

検査と診断

 膝関節に疼痛を訴えても、股関節の動きの制限がないかどうかを正しく診察し、股関節異常の有無をチェックすべきです。疑わしい時は股関節の画像診断に進みます。初期で骨端核の破壊が進んでいない場合は、正常か異常かの判断が困難な場合があります。骨端核の成長は個人差もあるので、左右ともX線写真を撮影して比較することが重要です。また、疑わしい症状が続く場合には、時期をおいてX線撮影を行う必要があります。
 MRI検査は、初期から股関節の異常の有無を確認できる有用な方法です。

治療の方法

 ペルテス病が変形なく正常に治るか否かは、発症年齢と障害部位の大きさが深く関係します。年齢では、低年齢すなわち小学生低学年以前の発症は治りやすく、大きくなって発症した場合、とくに10歳以降の発症は変形を残すことが多いとされています。また、骨端核の障害部位が大きい場合は治るまでの期間が長く、変形を残す率が高くなります。
 一般に、成長期に発症するため修復傾向が強い病気ですが、発症年齢が高い場合や、骨端核の障害が広く全体に及ぶ場合は変形を残すことがあり、注意が必要です。特別な装具を装着したり、松葉杖を使って免荷(めんか)(体重をかけない)歩行することもあります。骨端症は治るまでに長期間かかることが多く、ペルテス病の場合には安定した修復状態に達するまで数年を要することもあります。生涯にわたる股関節の変形を防止するため、小児施設病院に入院させて長期間ギプスを巻く治療や、治療期間を短縮させるために手術的治療を行うこともあります。