腰痛症とはどんな病気か

  • 下肢痛などの神経症状を伴わない腰痛のうち、とくに原因となる器質的病変が認めないものです。
  • 一般的に「ぎっくり腰」と呼ばれる急性腰痛症と、痛みは軽いものの強くなったり楽になったりを繰り返す「慢性腰痛症」があります。

腰痛症の原因は何か

  • 急性腰痛症は不意の動作、とくにひねり動作で急に起きることが多く、慢性的な腰痛症は日常生活での不良姿勢による腰の筋肉の疲労などが原因です。
  • 腰椎(ようつい)周囲の筋力が弱く、適切な姿勢が保持できなかったり、腰椎周囲の筋肉に過度の負担がかかることが、腰痛の原因になります。

腰痛症の検査と診断

  • 問診と診察所見を中心に、X線検査などの画像診断による除外診断になります。
  • ほかに特定すべき疾患がないことを確認し、内臓疾患を含むほかの重大な病気を見逃さないようにして腰痛症という診断がなされます。

腰痛症の治療方法

  • 急性腰痛症は、安静や投薬により通常数日で軽快します。
  • 慢性的な腰痛に対しては、主に、日常生活動作の改善、腰痛体操などの治療が行われます。
  • 非ステロイド性消炎鎮痛薬や筋弛緩薬が適宜使用されることもありますが、多くの場合、日常生活動作に注意するだけで腰痛はかなり改善します。
  • 腰痛の再発防止のためにも腰痛体操は大切です。
  • 図68 日常生活の注意点(1)日常生活の注意点図68
  • 重いものを持ち上げる際は、できるだけ体に引きつけて持ち上げます。
  • おなかから対象までの距離を短くすることで、腰背部の筋肉にかかる負担は小さくなります。
  • 椅子に座る場合は、腰椎の前弯(ぜんわん)を減少させるために、膝の高さが臀部(でんぶ)の高さよりやや高くなるようにするか、膝を組んで座るようにします。
  • 立ち仕事の場合は、腰椎の前弯防止と筋肉の疲労を軽減させるために、足台を使うようにします。
  • 骨盤を水平に保つことで腰椎の前弯を減少させ、腰部の筋肉の疲労を減らすことができます。
  • いずれにせよ、同じ姿勢を長時間とり続けないようにすることが大切です。
  • (2)腰痛体操 図69 腰痛体操
  • 腰痛体操の目的は、(1)不良姿勢の改善、(2)腹筋・背筋の強化、(3)軟部組織の柔軟性の獲得があげられます。
  • 図69に示すように4種類の腰痛体操があります。
  • なお、腰痛が強い時は、腰痛体操を行わないのが基本です。
  • Aの体操は、腹筋、殿筋(お尻の筋肉)、ハムストリングス(大腿部後面の筋肉)に力を入れるようにします。
  • 腰が浮かないようにしながら、十分に力を入れたあとに力を抜きます。
  • この運動による不良姿勢の改善は、腰椎の前弯を減少させ、腰背部の筋肉に対する負荷を小さくさせます。
  • Bの体操は、腹筋の強化を目的にしています。
  • これにより腹腔内圧を上昇させ、自らの筋肉によるコルセットを作るようなもので、脊椎の安定性を得ることができます。
  • 膝関節と股関節は屈曲して行うようにします。
  • 膝関節と股関節をまっすぐに伸ばしてこの運動を行うと、逆に腰椎の前弯が増強してしまうからです。
  • また、腹筋力強化には必ずしも上半身を垂直位まで起こすことはなく、肩が少し浮く程度で5秒ほど姿勢を維持すればよいでしょう。
  • Cの体操は、腰背部のストレッチで腰椎周囲の軟部組織の柔軟性を得るために行います。
  • 腰痛症では腰背部の筋肉が拘縮を起こしていることが多く、急に体を前かがみさせると腰痛を生じやすいので、このストレッチは大切です。
  • Dの体操では、背筋の強化を行います。
  • 下腹部に枕を置いて、これを支点に腰背筋の反り返り運動をします。
  • 強く反り返る必要はありませんし、枕が大きすぎると腰椎の過度の屈曲が起こり、痛みを誘発させることがあるので注意します。
  • A〜Dの体操のうち2〜3種類を選んで、朝・晩の1日2回それぞれ5〜10回程度から開始して、状況に応じて種類と回数を増やしていくことが大切です。

腰痛症に気づいたらどうする

  • 無理な姿勢や同一姿勢の持続などの腰椎への負荷を減らしたり、体重コントロール、腰背筋・腹筋の筋力訓練などを積極的に行うことで痛みが軽快する可能性の高い病態です。
  • 一方、単なる腰痛でも重い病気の初期症状であることもあります。
  • 軽い症状でも整形外科を受診し、確実な診断とアドバイスを受けましょう。