脊髄空洞症とはどんな病気か

  • 脊髄は、脳から腰の上部へと連続する中枢神経の一部です。
  • 脳や脊髄のまわりには脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体が流れており、脳のなかにある脳室や脊髄の中心部にある中心管にも脳脊髄液が流れています。
  • 脊髄空洞症とは、脳脊髄液が脊髄のなかにたまり、脊髄の実質内に空洞が形成される疾患群の総称です。
  • 脊髄の中心部には中心管と呼ばれる管がありますが、この中心管と交通のある交通性空洞症(こうつうせいくうどうしょう)と、交通のない非交通性空洞症に分類されます。
  • この空洞の形成に伴って脊髄を内側から圧迫するため、いろいろな神経症状、全身症状が現れます。

脊髄空洞症の原因は何か

  • 脳脊髄液の通過障害や頭蓋内圧と脊髄腔圧の較差が原因になりますが、はっきりとした原因は解明されていません。
  • 大孔部(だいこうぶ)という脳と脊髄の移行部に、小脳の一部が落ち込むキアリ奇形を伴うものが多いのですが、大孔部や脊髄の炎症(くも膜炎)、脊髄腫瘍、外傷などに伴うもの、原因が不明な特発性のものなどがあります。
  • また、脊髄のまわりへの髄液の流れが障害された場合、脳脊髄液が中心管に流れてしまい、中心管が拡大して空洞を形成することがあります。

脊髄空洞症の症状の現れ方

  • 症状は、空洞症により障害を受けた脊髄の神経支配領域にそった温痛覚障害です。
  • 頸椎に病変がある場合は、上肢に症状が出現します。
  • 空洞症による温痛覚障害の特徴は、たとえば、腕を強くつままれてもふれられているという感覚はあるのに、痛みや熱さを感じなくなります。
  • この現象は解離性知覚障害(かいりせいちかくしょうがい)といわれ、温度を識別する感覚や痛みの感覚がわかりにくくなるのに対し、触覚(ふれる感覚)は正常あるいは軽度の低下にとどまることです。
  • 外傷性の脊髄空洞症では、疼痛(とうつう)が最も多い症状となります。
  • 病気が進み空洞が大きくなると、しびれ、筋肉のやせ、手足の脱力、つっぱりがみられてきます。
  • キアリ奇形に伴う空洞症では、小脳や脳幹が圧迫され、頸部(首)の痛み、睡眠時無呼吸、手足の震えなどが生じることがあります。
  • そのほか、典型的ではありませんが、皮膚の栄養障害による手の乾燥、はれ、時に爪の変形が生じることもあります。

脊髄空洞症の検査と診断

  • MRI検査により脊髄空洞症の存在は明らかになります。
  • 脊髄のなかにMRIのT1強調像で低輝度性変化(黒い陰影)がみられ、T2強調像で高輝度性変化(白い陰影)がみられれば診断は容易です。
  • キアリ奇形は、MRI検査で小脳や脳幹部にも異常がみられ、X線やCT検査によって頭蓋・頸椎移行部の骨病変を検索します。

脊髄空洞症の治療方法

  • 無症候性であれば経過観察となりますが、症状がいったん出現すれば自然軽快することはまれです。
  • 症状が進行する場合では保存的治療は効果がなく、手術的治療が必要になります。

脊髄空洞症に気づいたらどうする

  • 疑わしい症状の発現に気づいたら、近くの脳神経外科あるいは整形外科を受診しましょう。
  • MRI検査を行えば診断は容易です。
  • 本症が確定診断された場合は、脊椎(せきつい)、脊髄を専門とする医師への紹介を受けたほうがよいでしょう。
脊髄空洞症

脳や脊髄は液体の中に浮かんで、外部からの衝撃から守られています。この液体を脳脊髄液といいます。脊髄空洞症では、脊髄の中にこの脳脊髄液がたまった大きな空洞ができて脊髄を内側から圧迫するため、いろいろな神経症状や全身症状をきたす病気です。男女差なく20歳から30歳代の発症が多いのですが、あらゆる年齢層にみられます。学童期の検診では側弯症をきっかけに、空洞症が早期診断される場合があります。