黄斑円孔とはどんな病気か



 眼底の中心にある黄斑部の網膜(もうまく)に孔(あな)があく病気です(図53)。黄斑部は物を見るための中心ですから、黄斑円孔になると非常に物が見えにくくなります。
 15年ほど前までは治療不可能とされていましたが、最近では手術でほとんど黄斑円孔は閉鎖することができるようになっています。高齢者に多い病気ですが、眼の打撲などで若い人にも起こることがあります。

原因は何か



 眼の老化、とくに硝子体(しょうしたい)の加齢による変化が原因です。硝子体の最も外側、網膜と接する部分を硝子体皮質といいますが、加齢とともに黄斑部網膜に接する硝子体皮質に接線方向の張力が加わります。すると、網膜と硝子体皮質は中心部で強く接着しているため、網膜の中心に前方への牽引力(けんいんりょく)が加わり、黄斑部網膜に亀裂(きれつ)が入って黄斑円孔ができると考えられています(図54)。

症状の現れ方



 多くの場合、変視症(へんししょう)(物がゆがんで見える)で始まります。黄斑円孔による変視症は特徴的で、よく「すぼんで見える」「吸い込まれるように見える」と表現されます(図55‐b)。
 視力は初期には比較的良好ですが、進行するにつれて下がっていき、最終的には0・1〜0・2程度まで低下します。

検査と診断

 眼底検査で一目瞭然(りょうぜん)です。OCT(光学的干渉断層計)を用いれば、黄斑円孔の断面をきれいに映し出すことができます。進行の過程によって、ステージ1〜4に分けられています。
 黄斑円孔は、かつては中心部の網膜がくり抜かれてできると考えられていました。しかし、今では針で突いたような小さな孔が周囲に拡大したものであることがわかっています。

治療の方法

 ごくまれに自然に治ることがありますが、一般的には硝子体手術が唯一の治療法です。手術で最も重要なポイントは、後部硝子体皮質(こうぶしょうしたいひしつ)を網膜の表面から剥離(はくり)することにありますが、最近は内境界膜(網膜の最表面にあり、後部硝子体皮質と接する膜)を併せて取り除く方法が広まっています。
 手術では眼のなかに気体を注入するので、術後数日間はうつ伏せの体位をとらなくてはなりません。うつ伏せはかなりつらいようですが、今では手術によって90%以上は円孔が閉鎖するようになっていますから、がんばる甲斐はあります。円孔が閉鎖すると、直後から変視症は大幅に改善しますが、視力の回復はさまざまです。

黄斑円孔に気づいたらどうする

 早急に眼科専門医の診断を受ける必要があります。早く手術をするほど円孔が閉鎖する率は高く、視力の回復は良好です。
 手術は一刻を争うわけではありませんが、早く手術を受けるに越したことはありません。時間がたちすぎると、円孔は閉鎖しても視力はあまり回復しません。