視神経炎<眼の病気>の症状の現れ方

 片眼に、数日〜1週間くらいの間に進行する、比較的急激な視力低下で発症します。見ようとする部位(視野の中心)が見えない中心暗点を示すこともあります。また、眼を動かすと眼の奥が痛むこと(眼球運動で増悪する球後痛(きゅうごつう))が特徴的で、米国での調査では92%に球後痛が認められています(日本人ではやや少ないとされている)。この球後痛は、視力障害に先立って自覚されることも多く、重要な自覚症状といえます。
 脱髄の特徴として、入浴や運動など体温が上昇した際に見えにくくなることも知られています。

視神経炎<眼の病気>の診断と治療の方法

 米国での多施設調査では、発症1年後の視力予後は、未治療でも93%が視力0・5以上に、69%が視力1・0以上になり、0・1以下の視力は3%であるとの結果でした。発症10年後の視力予後もほぼ同様で、92%が視力0・5以上、74%が視力1・0以上となり、0・1以下の視力は3%でした。
 この割合は、現在おもに使われている副腎皮質ステロイド薬の点滴・内服治療をした場合もほぼ同等で、副腎皮質ステロイド薬による治療は基本的に視力予後には関係しないという結果でした。日本での多施設調査においても、副腎皮質ステロイド薬の点滴(パルス)療法をした群とビタミン投与のみの治療群では1年後の視力にあまり差がなく、それぞれ76%、70%が視力1・0以上に改善しました。
 ただし、副腎皮質ステロイド薬の点滴治療(その後内服治療に移行)は、視機能の回復を早める、また少なくとも将来2年間の多発性硬化症の発症率を下げる、といった効果があるとされています。そのため、両眼性の症例、高度に視力低下のある症例、多発性硬化症への移行が疑われる症例(初発時にMRIで側脳室周囲の高信号域が2個以上認められる場合)では、積極的に検討されるべきだと考えられています。
 一方で、副腎皮質ステロイド薬の経口内服単独治療(点滴をしないで初めから内服だけ)は、視神経炎発作の再発を誘発するとの結果が出ており、一般的には推奨されていません。また、副腎皮質ステロイド薬の点滴をした場合でも、3年後の視機能および多発性硬化症への移行率は、未治療群とほぼ同等になるという報告もあり、その効果は一過性と考えられています。副腎皮質ステロイド薬以外では、神経保護目的でビタミンB12製剤の内服投与を行います。
 多発性硬化症に基づく視神経炎のために、高度の視力障害を起こす難治性再発性の場合は、副腎皮質ステロイド薬の反応も悪く、長期間の投与により副作用も懸念されることがあります。その場合は、インターフェロンβ(ベータ)‐1b(ベタフェロン)、β‐1a(アボネックス)治療が再発増悪の抑制に有効であるという報告があります。アクアポリン4抗体が陽性の症例ではステロイドパルス治療に加え、抗体の除去を目的に血漿交換療法が積極的に行われることもあります。