滲出性中耳炎とはどんな病気か

  • 急性炎症を伴わず、中耳に滲出液(しんしゅつえき)がたまっている状態です。
  • 子どもから大人まで、あらゆる年齢層に発症しますが、子どもの頻度が圧倒的です。
  • 大人では片側性のことがありますが、子どもは大半が両側性です。
  • 放置すると鼓膜(こまく)が陥没したり、萎縮したり、取り返しのつかない変化が起こることがあるので、適切な治療が必要です。

滲出性中耳炎の原因は何か

  • 子どもでは、中耳炎が長引いて起こることが大部分です。
  • 背景に、耳管(じかん)の機能不全による中耳換気障害が存在します。
  • アデノイド肥大や口蓋裂(こうがいれつ)、粘膜下口蓋裂(ねんまくかこうがいれつ)など、はっきりした原因が認められる割合は多くありません。

滲出性中耳炎の症状の現れ方

  • 症状の主体は難聴(なんちょう)ですが、乳幼児では訴えが少なく、返事が悪くなったり、テレビの音を大きくしているなどの症状から、まわりの大人が気がつくことが多いようです。
  • 大人では、難聴以外に、耳が詰まる、声が響く、頭が重いなどを訴えます。

滲出性中耳炎の検査と診断

  • 診断は、顕微鏡で鼓膜を観察すれば容易です。
  • 一般に鼓膜は陥没していることが多く、中耳の貯留液が認められます。
  • そのほか、聴力検査、鼓膜の可動性をみるティンパノメトリーなどが行われます。
  • また、耳のX線やCT検査が行われることもあります。

滲出性中耳炎の治療方法

  • 子どもでは、中耳周囲の空間の発達がよい場合は、治療経過もよいので、治療法を選択する際には参考になります。
  • 学齢期までには90%以上が治癒するので、保存的治療が基本になります。
  • 耳管機能に影響する鼻咽腔の炎症を取り除くため、鼻ネブライザー、さらに耳管通気(じかんつうき)が行われます。
  • マクロライド系抗生剤の少量長期投与や、抗アレルギー薬、粘液調整薬、漢方薬なども併用されます。
  • 軽症の場合では経過観察でもよいのですが、悪化時の適切な対応が重要です。
  • 4歳を過ぎても保存的治療の効果がない場合、また難聴が30dB(デシベル)以上の場合は発育にも影響するので、積極的に鼓膜切開(こまくせっかい)を行います。
  • 鼓膜切開は、乳幼児でも外来で簡単に行うことができ、感染がなければ鼓膜の穴は数日で閉鎖するので心配いりません。
  • 鼓膜切開を繰り返し行ってもすぐ再発する場合や、鼓膜の陥没が強い場合には、鼓膜を切開し、穴がふさがらないように細いシリコン性チューブを置き、外耳道を経由して換気できるようにします。
  • 乳幼児では、体動による損傷を防ぐため、全身麻酔が必要になります。
  • 中耳が正常化するまで、チューブの長期の留置が望ましいので、定期的に耳鼻科の診察を受ける必要があります。
  • また、チューブを置いた状態で耳に水が入ると中耳炎を起こす危険があるので、入浴時・水泳時などには耳栓を入れるなどの生活指導が必要です。
  • アデノイド肥大により耳管を圧迫している場合や、扁桃肥大(へんとうひだい)があり感染を繰り返している場合では、口蓋扁桃(こうがいへんとう)切除術、アデノイド切除術を行うことがあります。

滲出性中耳炎に気づいたらどうする

  • 子どもの場合は、慢性化するため、長期の治療が必要です。
  • 症状に変動がありますが、大半の患者さんでは成長とともに軽快するので、根気よく通院することが大切です。
  • 外科的治療の目的は、癒着性中耳炎(ゆちゃくせいちゅうじえん)、真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎などの重篤な合併症の予防と、難聴の持続による発達への悪影響を避けるためであることを、よく理解してください。