真珠腫性中耳炎とはどんな病気か



 正常な鼓膜(こまく)は太鼓のようにぴんと張った膜ですが、鼓膜の一部が奥に入り込んでいくのが真珠腫性中耳炎です(図21)。
 中耳の炎症が長引くと、乳突洞(にゅうとつどう)(中耳の奥にあるハチの巣状の骨)や上鼓室(じょうこしつ)へ炎症が及びます。さらに中耳の換気状態が悪くなると、真珠腫性中耳炎が発症します。滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)や癒着性(ゆちゃくせい)中耳炎に続いて起こることもあります。鼻すすり癖がある人に発症しやすいといわれています。

症状の現れ方

 奥に入り込んだ鼓膜が、さらに深部へ進むとさまざまな症状が現れます。強い炎症や骨破壊を生じて、耳だれ、難聴めまい耳鳴り顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)などを合併し、一般的な慢性中耳炎よりも重い病気です。そのまま放置すると髄膜炎(ずいまくえん)や脳膿瘍(のうのうよう)を起こし、生命に関わる場合もあります。
 この病気は、耳漏、炎症を繰り返していること、後天的な病気であることが先天性真珠腫(せんてんせいしんじゅしゅ)との大きな違いです。

検査と診断

 診断は、鼓膜をよく見ることが第一です。できれば手術用顕微鏡や拡大耳鏡、内視鏡を用いてよく観察し、真珠腫の侵入部位、鼓膜の癒着、耳小骨(じしょうこつ)の状態を調べます。同時に局所治療により炎症を抑えます。
 この病気では、側頭骨ターゲットCTが必須の検査です。CTにより真珠腫の進展範囲、骨破壊(内耳瘻孔(ないじろうこう)や硬膜露出の有無)、耳小骨の破壊の有無を診断します。聴力検査は真珠腫による伝音難聴(でんおんなんちょう)、混合難聴(こんごうなんちょう)の程度を把握するために実施します。

治療の方法


(1)保存的治療

 入り込んだ鼓膜のなかには耳あかのようなものがたまり、細菌が感染すると病気がさらに進行します。真珠腫がある部分をていねいに清掃し、抗生剤の点耳や内服で一時的には症状が改善します。
 しかし、ここで安心してはいけません。放置すると必ず再発し、増悪していくのが真珠腫性中耳炎の特徴です。
(2)外科的治療
 根本治療は手術で、慢性(化膿性)中耳炎で説明した鼓室(こしつ)形成術を行う必要があります。しかし慢性中耳炎とは異なり、真珠腫は術後の再発が問題となり、より熟練した慎重な手術が求められます。真珠腫の完全除去、伝音連鎖の再建と鼓膜の形成を行います。重症の真珠腫では、2回に分けて手術を行う段階的手術も行われています。
 最近では手術方法が非常に改良されており、難聴もかなりの率で改善します。

受診のポイント

 放置すると重大な合併症をまねくことがあるので、適切な治療が必要です。完全に治すには手術が必要です。術後も再発の可能性があるので、必ず外来通院してください。