どんな症状か

 鼻閉とは鼻づまりのことで、すべてが病気によるものではありません。片側の鼻が数時間で左右交代に起こる鼻閉はネーザルサイクルといわれ、生理的現象です。病的な鼻閉は、両側の鼻閉といつも同じ側の鼻がつまっている場合です。

原因は何か

 病的な鼻閉には、鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)など鼻の骨の構造に原因のある構造的な鼻閉、アレルギー性鼻炎など炎症で鼻粘膜が腫脹(しゅちょう)する(はれる)機能的な鼻閉、鼻腔内の腫瘍やポリープによる器質的な鼻閉があります。さらに、鼻は通っているのに鼻づまりや呼吸困難を自覚する心因的(しんいんてき)鼻閉や、手術などで鼻のなかが広くなりすぎて抵抗感がまったくなくなった場合の鼻閉感(エンプティーノーズ)もあります。逆に、鼻閉感を訴えない人でも、いつも口を開けて口呼吸をしている時は鼻閉があるはずなので、調べる必要があります。
 鼻以外に原因がある鼻閉感もあります。小児では鼻の奥にあるアデノイド(扁桃腺(へんとうせん)のはれ)が大きいために鼻呼吸ができないことが多く、成人であお向けに寝ると鼻呼吸ができない時は口蓋垂(こうがいすい)(のどちんこ)が大きい場合があり、大きないびき睡眠時無呼吸(すいみんじむこきゅう)の原因になります。
 鼻には、吸い込んだ空気を加温・加湿する役目があります。鼻のなかには甲介骨(こうかいこつ)という数枚の骨が突出して、ちょうどラジエーターの放熱板のように表面積を広くして呼気を加温・加湿しやすくします。とくに、下鼻(かび)甲介骨には海綿状静脈洞(かいめんじょうじょうみゃくどう)という分厚い血管網が表面を取り巻き、その表面をさらに粘膜がおおっていて、温かい血液と吸い込んだ空気の間で熱交換することで呼気は温められます。この海綿状静脈洞に自律神経の作用で血液が多く流れ込むと、血管が拡張して粘膜が膨張(ぼうちょう)、鼻の空間が狭くなって鼻閉を感じます。
 これは、陰茎(いんけい)の勃起(ぼっき)とほぼ同じ仕組みです。したがって、バイアグラなどのED治療薬でも鼻閉が起こります。生理的鼻閉やかぜの時の両側性鼻閉は、この仕組みで起こります。アレルギー性鼻炎の両側性鼻閉はこの血管の拡張による部分と、好酸球(こうさんきゅう)という白血球の炎症による粘膜の浮腫(ふしゅ)(むくみ)によって起こる部分がありますが、実際には後者の要素が大きく、ダニなどによる通年性アレルギー性鼻炎では9割、スギ花粉症では7割が炎症による浮腫です。

治療の方法

 局所ステロイド点鼻薬と抗ロイコトリエン内服薬が、好酸球の炎症による鼻閉には最も有効です。
 慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)(蓄膿症(ちくのうしょう))や通年性アレルギー性鼻炎などの慢性の炎症はポリープ(鼻茸(はなたけ))を発生させ、主に片側の鼻閉の原因になります。手術が最も確実な治療法ですが、喘息(ぜんそく)に合併する副鼻腔炎では、手術しても再発を繰り返します。
 脳が鼻の上にあるヒトでは、鼻中隔(びちゅうかく)は成長の過程で左右どちらかに弯曲することがむしろ自然ですが、加齢などで弯曲が高度になったり、アレルギー性鼻炎を合併すれば片側性鼻閉の原因になります。上顎(じょうがく)がんの場合は片側性ですが、歯痛や鼻出血を伴うことがあります。
 外鼻部(がいびぶ)が狭い場合や軟骨が軟らかい場合も鼻閉の原因(鼻弁狭窄(びべんきょうさく))になります。小鼻の上を外側に引っ張って呼吸が楽になれば(カトルテスト)、鼻弁が原因です。この場合、外鼻形成手術が行われます。
 さまざまな構造的、機能的、器質的鼻閉に対する最も確実な治療法は、内視鏡下の下鼻甲介手術です。専門医に相談してください。
 薬局で売られている点鼻薬はアドレナリンの一種で、前述の海綿状静脈洞の血管を急激に収縮させてその場で鼻閉をとります。最初は4時間程度効果が続きますが、使い続けると効きめは次第に弱くなり、効きめが切れる時の呼吸困難感は耐えられず、点鼻薬の使用量が増え続けます。そのため、国際的には10日以上の連用は禁止されています。
 この薬を大量に使うと心臓の血管が収縮し、心筋梗塞(しんきんこうそく)を起こした報告もあります。薬物依存を起こし、重大な副作用の原因にもなるので、薬局では買わず医療機関で相談してから使ってください。