副鼻腔嚢胞とはどんな病気か



 副鼻腔(上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞(しこつどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)、前頭洞(ぜんとうどう))の出口の狭窄(きょうさく)(狭くなる)によりそのなかに液が充満し、副鼻腔が拡大して、その骨壁が圧排(あっぱい)あるいは破壊されるものをいいます(図6)。嚢胞(のうほう)の内容液は粘液状のものから膿状(のうじょう)のものまであります。
 広義の副鼻腔嚢胞には、多くの種類の疾患が含まれますが、そのうち副鼻腔粘液嚢胞(ねんえきのうほう)(ムコツェーレ)と術後性上顎嚢胞(じょうがくのうほう)が代表的な疾患です。前者は前頭洞に多く、後者は圧倒的に上顎洞に多く発生します。

原因は何か

 副鼻腔嚢胞全体では、3分の2が術後性、3分の1が原因不明といわれています。術後性上顎嚢胞は、文字どおり術後に発症することが圧倒的に多く、初回の上顎洞手術の15〜20年後に最も多いといわれています。

症状の現れ方

 多くの場合、経過が極めてゆっくりなため、症状を自覚するのは相当進行してからです。ただし、嚢胞に感染が加わった場合、急速に発症することがあります。
 症状は嚢胞ができる部位により違います。前頭洞に発生したものでは、眉付近のはれや眼の症状が多くみられます。すなわち、眼の動きが悪くなったり、はれたり、物が二重に見えたりする症状です。一方、上顎洞に発生したものでは、眼の症状のほかに、頬の痛み、はれが現れます。

検査と診断

 これまでに副鼻腔の手術(ほとんどの場合は蓄膿(ちくのう)の手術)を受けたことがあるかどうかが大切な点です。単純X線検査でも診断可能ですが、術後の症例ではわかりにくいこともあり、CTやMRI検査が極めて有用で、これらでほぼ診断可能です。また嚢胞に穿刺(せんし)(針を刺す)して内容物(液体)が吸引できるかをみることも重要な診断法です。

治療の方法

 嚢胞が感染を起こしている時(急性増悪期)には、抗菌薬を投与します。嚢胞の根本的な治療としては手術が主体です。現在では、どこも切開せずに、鼻の穴から内視鏡を入れて手術を行う方法(ESS)が一般的です。とくに、篩骨洞、蝶形骨洞の嚢胞ではその適応となります。
 前頭洞でも内視鏡手術が多くなってきましたが、眉の下縁を切開して行う手術法もあります。上顎洞でも内視鏡手術が主体となりつつありますが、歯肉の上方を切開する手術法もあります。
 いずれの手術法も嚢胞を全部摘出するのではなく、広く鼻腔に開放しようとする手術です。入院期間は7〜10日程度です。手術後の再発率は5〜10%といわれています。

副鼻腔嚢胞に気づいたらどうする

 前述の症状があれば、耳鼻咽喉科専門医への受診をすすめます。とくに以前慢性副鼻腔炎(蓄膿)の手術をした人は、この病気の可能性があります。視力障害を伴う場合は緊急を要するので、早急に受診することが必要です。