顎骨腫瘍(エナメル上皮腫を含む)<口・あごの病気>の症状の現れ方

 初期には無症状ですが、増大すると顎骨の膨隆(ぼうりゅう)を来します。腫瘍が増大して顎骨の吸収が進むと、羊皮紙様感(ようひしようかん)(ペコペコした感じ)や波動(波のような動き)を触れます。また、歯の傾斜、転位、埋伏(まいふく)が認められます。
 初期には無症状に経過します。腫瘍が増大するにつれ、歯肉の腫脹(しゅちょう)、潰瘍、疼痛(とうつう)、歯の動揺・脱落などを来し、出血しやすくなります。腫瘍が外側へ進展すると顔面腫脹が、後方へ進展すると開口障害が生じます。顎骨内に深く浸潤(しんじゅん)すると、歯痛や三叉神経痛(さんさしんけいつう)のような疼痛あるいは知覚鈍麻(どんま)が現れます。さらには病的骨折を来すこともあります。
 頸部(けいぶ)リンパ節への転移は25%に認められ、下顎歯肉がんに多くみられます。リンパ節転移は顎下リンパ節や上内頸静脈(じょうないけいじょうみゃく)リンパ節の腫脹として触れます。

顎骨腫瘍(エナメル上皮腫を含む)<口・あごの病気>の診断と治療の方法

 単房性のものは、患部の摘出に加えて周囲の骨を取り除きます。小児では開窓療法(窓を開けて減圧する)を行い、腫瘍が小さくなってから摘出を行います。多房性のものでは、顎骨切除(上顎:上顎部分切除、上顎全摘出、下顎:下顎骨辺縁(へんえん)切除、下顎骨区域切除、下顎骨半側切除)を行います。
 エナメル上皮腫は、良性とはいえ局所浸潤性(しんじゅんせい)に増殖するため、時に再発します。繰り返し再発することによって転移したり、悪性化することもあると指摘されています。
 がんの進行状況に応じた顎骨切除(上顎:上顎部分切除、上顎亜全摘出、上顎全摘出、下顎:下顎骨辺縁(へんえん)切除、下顎骨区域切除、下顎骨半側切除、下顎骨亜全摘出)を行います。術前に放射線治療や化学療法を行うこともあります。頸部リンパ節への転移が認められる症例では、頸部郭清術(かくせいじゅつ)(リンパ節を清掃する手術)も併せて行います。
 がん切除後の顎骨欠損に対しては、下顎では骨移植あるいはチタンプレートによる下顎の再建を同時に行います。その後、インプラントなどにより咬合(こうごう)再建を図ります。上顎でも骨移植を行うことはありますが、多くは顎補綴(がくほてつ)で対応します。また、頬部や口底などの広範囲切除例には皮弁(移植用の皮膚)による再建を行います。
 5年生存率は約70%と比較的良好ですが、リンパ節への転移例では予後は不良となります。