乳歯のむし歯は、永久歯のむし歯と比べてかなり異なった病態となります。すなわち、むし歯が多発しやすいこと、急速に進行すること、歯の痛みがほとんどなく進行すること、活発な防御機転がはたらきやすいこと、などです。
 乳歯がむし歯になりやすい理由として、次のようなことが考えられます。小児では歯の清掃が成人よりも十分に行われにくいこと、砂糖類の甘い食物の摂取量が多くなりがちなこと、粘着性の高い食物を摂取しやすいこと、永久歯に比べて乳歯の歯質は酸に対する抵抗性が弱いこと、などです。
 乳歯のむし歯の診断は主に視診で行われますが、必要に応じてX線写真を撮影します。これには生え変わる永久歯の成長状態を観察する目的も含まれます。
 乳歯のむし歯の治療は、多発性と進行速度、むし歯の罹患型および患児の年齢などを考慮して行いますが、むし歯になりやすい状態の場合と比較的なりにくい状態とを区別して治療計画がたてられます。治療は一般に永久歯にほぼ準じますが、抜歯して永久歯が生えてくるまでそのスペースを確保する処置(保隙(ほげき)処置)は、乳歯治療に独特のものです。

むし歯(う蝕)

むし歯は、口のなかに常在している細菌の感染により歯質が軟らかくなり、崩壊していく病気です。日本では、食生活の変化とともに多くの人が罹患(りかん)するようになっています。 6年に一度行われる歯科疾患実態調査の最近(2005年)の結果では、6歳における乳歯のむし歯および12歳における永久歯のう蝕有病歯率(ゆうびょうしりつ)(処置された、あるいは未処置のむし歯をもっている割合)がともに回を追うごとに減少してきています。すなわち、乳歯・永久歯ともむし歯の急増しやすい時期における減少傾向が認められます。 むし歯は、砂糖を含む食物との関連が深いことがわかっています。とくに毎日の砂糖を含む食物の摂取量が多いと、むし歯が多発することがあります。